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3次元CTを用いた複雑な鉱石高温挙動の計測融合シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 23K17810
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分26:材料工学およびその関連分野
研究機関東北大学

研究代表者

夏井 俊悟  東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70706879)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワード鉱石 / 高温変形 / 3D-CTスキャン / Shape Matching Dynamics / 反応性流体
研究開始時の研究の概要

金属鉱石を溶融・還元して純金属を獲得するプロセスは、急速な資源劣質化とCO2排出実質ゼロ社会実現のため転換点にあります。本研究では、マイクロフォーカスX線CTおよび3D再構成技術により鉱石の高温での反応と変形を含む挙動を高精細に計測し、現実の鉱石の複雑な情報を数理シミュレーションに組み込んで、近年の急速な鉱石資源トレンド変化において迅速に対応できる数理モデル技術構築を目指します。具体的には、鉄焼結鉱を主なターゲットとして、その内部の不均一性を高精細に3次元データ化した上で、形状制約に基づく変形追跡を行うShape Matching Dynamicsの適用可能性を模索します。

研究実績の概要

本研究は、金属資源の高温挙動の統合的理解を深化することを目的に、観測データと数理モデルをつきあわせモデルの確からしさを向上させる試みである。本年度は、複雑な気孔と高温還元挙動を示す鉄鉱石の焼結鉱およびペレットを対象に、種々の予備還元焼結鉱の荷重下での融着現象を対象とした変形試験を実施した。得られた試料に対して、マイクロフォーカスX線CTによる3D再構成技術を適用して還元・変形を含む金属鉱石高温挙動を高精細に計測した。特にペレット粒子群の高温挙動については、本年度長期滞在したオランダ・デルフト工科大学において大規模実験を実施したのち、産業用高エネルギーX線CT撮像を実施した。鉱石内部の不均一性を密度分布として高精細に3次元データ化したのち、融着現象を非Newton流体の運動方程式で表現し、これを平滑化粒子流体力学(SPH)法を用いて解き、還元生成した鉄シェルについては形状制約に基づく線形補間で連続体変形を追跡するShape Matching (SM) Dynamicsを適用して高温での挙動を解析したところ、以前の手法よりも高い再現精度を示した。初期・境界条件としての任意形状の焼結鉱粒子内コア・シェル構造を決定する必要があり、現在は、反応拡散方程式をモデル解析することでこれを推定している。CT値分布から焼結鉱粒子内部の比較的粗大な気孔形状を測定することはできるが、化学組成分布を得るには至らない。これは内部の広い気孔サイズの分布が影響している。フランス・INSA LyonにおいてX-CT条件の最適化を行っており、本法における印可電圧最適化を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画調書にしたがって研究を進展させることができ、初年度としては十分な成果を上げたと考えられる。

今後の研究の推進方策

塊成化した鉄鉱石を対象として、これを高温還元したときの化学組成分布の複雑な変化や、溶融(相変化)を伴った界面移動の実物融合シミュレーションに対する一つのアプローチを提言できた。一方、現在の課題として、鉄鉱石粒子間の相互作用を明示的に解くことが出来ないことが浮き彫りとなった。特に還元生成した鉄シェルが互いに接触したときの界面を電子プローブアナライザ(EPMA)で観察したところ、還元された鉄の網目構造が溶融スラグを介して合体し、境界が曖昧となることを物理モデル化できていない。計画調書段階ではこの現象については対象にしていなかったが、2024年度は再度デルフト工科大学に長期滞在して昨年と同様にサンプルを取得し、詳細なデータを可能な限り多く収集する。また、INSA Lyonにおける単一鉱石のX-CT分析における出力最適化も、現地技術者のサポートを得ながら継続して取り組む。数値シミュレーションについては、SM-SPHの枠組み以外にも高精度に複雑な固液共存系の高温挙動を解く手法が提案されており、その検討を行う。還元剤としてCOガスのほか、近年の環境問題への取り組みとして注目されるH2ガスの影響を調べる。本アプローチの応用拡大として、銅鉱石は粉体のまま還元プロセスに供給されるが、燃焼を伴う銅鉱石粉体の高速な変形過程についても検討を深める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] デルフト工科大学(オランダ)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] INSA Lyon(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 還元率を考慮した焼結鉱塑性変形・流動の動力学モデルによる充填層変形解析2024

    • 著者名/発表者名
      夏井 俊悟、本田 隆翔、埜上 洋
    • 雑誌名

      材料とプロセス

      巻: 37 ページ: 21-22

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 数値解析による還元に伴う焼結鉱の構造・軟化変形挙動の定量的評価2023

    • 著者名/発表者名
      本田 隆翔, Kim Jeong-In, 夏井 俊悟, 埜上 洋
    • 雑誌名

      材料とプロセス

      巻: 36 ページ: 440-440

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 還元率を考慮した焼結鉱塑性変形・流動の動力学モデルによる充填層変形解析2024

    • 著者名/発表者名
      夏井 俊悟、本田 隆翔、埜上 洋
    • 学会等名
      第187回日本鉄鋼協会春季講演大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 数値解析による還元に伴う焼結鉱の構造・軟化変形挙動の定量的評価2023

    • 著者名/発表者名
      本田 隆翔, Kim Jeong-In, 夏井 俊悟, 埜上 洋
    • 学会等名
      第186回日本鉄鋼協会秋季講演大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Novel numerical approach for sintered iron ore plastic deformation phenomena2023

    • 著者名/発表者名
      Shungo Natsui, Mizuki Tanaka, Ryusho Honda, Andrey Stephan Siahaan, Hiroshi Nogami
    • 学会等名
      METEC & 6th ESTAD (European Steel Technology and Application Days)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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