研究課題/領域番号 |
23K17812
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 俊介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60452273)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 電気化学触媒 / 非晶質 / 酸素発生反応 / 四重ペロブスカイト型酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
酸素発生反応は水の電気分解や工業用電解、金属空気二次電池などに利用される重要な電気化学反応であり、安価で資源的に制約の少ない元素からなる触媒の研究開発が精力的に行われている。しかし、水溶液中などの触媒使用条件下では、触媒表面に非晶質層が形成されるにもかかわらず、現在世界中で行われている研究の多くが、非晶質層についての詳細な考察なしに、もともとの結晶構造や電子状態と触媒活性の関係を議論している。そこで本研究では、触媒表面に形成される非晶質層が酸素発生反応に対する活性に与える影響の解明に取り組み、非晶質層の形成と電気化学触媒の活性との本質的な関係を議論する新たな研究領域の開拓を推し進める。
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研究実績の概要 |
酸素の電気化学反応は水の電気分解、電解採取プロセスのアノード反応、金属空気電池などに関わる非常に重要な反応である。酸素の電気化学反応を現実的な速度で進行させるためには、熱力学的に必要と算出される電圧の印加だけでは足りず、活性化エネルギーに相当する余分な電圧(過電圧)の印加が必要となり、これが副反応の進行や莫大なエネルギー損失、電極の消耗などの重大な問題の原因となっている。この問題を解決するためには、安価で高活性かつ安定な電気化学触媒の開発が必要であり、世界中で様々な触媒が提案されている。 研究代表者らのこれまでの研究により、強塩基性水溶液中では、触媒表面に非晶質層が形成され、この非晶質層の形成により、本来物質が有する触媒活性が変化することがわかった。また、非晶質層が薄いほど、もともとの活性を維持する傾向があった。いくつかの構造を検討した結果、四重ペロブスカイト型酸化物は同種イオンを含有する単純ペロブスカイト型酸化物よりも高い安定性と活性を示したが、四重ペロブスカイト型酸化物の多くは高圧下で合成されるため、産業的応用が困難といった問題がある。これに対し本研究では、常圧下で合成できるRu含有四重ペロブスカイト型酸化物をベースに、複数種の金属元素を置換することで、常圧下で合成できる高活性かつ安定な触媒材料の探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、触媒活性を非晶質層の形成と関連させて評価することができており、順調に研究が進展していると考えられる。また、常圧下で合成可能な四重ペロブスカイト型酸化物の組成探査も同時に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、形成される非晶質層が薄いほど、もともとの活性が維持される傾向があることを明らかにした。一方で、非晶質層の形成によって、触媒活性が向上する場合もあり、今後はこの変化がどのようにもたらされるのかについて検討を進める。また、四重ペロブスカイト型酸化物を中心に、非晶質層が形成されにくい物質の探査とその条件についても引き続き検討を進めていく予定である。
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