研究課題/領域番号 |
23K17815
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古賀 紀光 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (30735923)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | パーライト鋼 / 強度 / ラメラ配向 / 高温圧縮 / 延性 / 鉄鋼材料 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄鋼材料は強度と延性の間にトレードオフの関係があり、鋼種によらずその積は10000MPa%程度である。パーライト鋼は、フェライト鉄と超硬質な炭化鉄が層状に配列した構造を有する。パーライト鋼に伸線加工を施すと炭化鉄の向き(配向)が伸線方向に揃うことで、現用鋼で最高硬度(4000MPa)を示す伸線パーライト鋼が得られる。しかし、加工を施すために伸線パーライト鋼の延性は著しく低く、強度-延性バランスは従来材と同程度である。そこで、本申請研究では、延性を低下させることのない製造プロセスを用いたパーライト鋼の炭化鉄配向制御法を確立することで、強度と延性のトレードオフ関係を打破する。
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研究実績の概要 |
パーライト鋼のラメラ配向制御法の確立のために、高温下のオーステナイト相状態で種々の圧縮加工を施した後にパーライト変態させた試料を作製した。 パーライト変態が生じる直上の温度である750℃で降伏応力を付与しながら1K/sで冷却した試料と応力を付与していない試料を作製した。本試料についてラメラ配向の三次元解析を行ったところ、圧縮軸に対して平行方向のラメラ配向が集積する傾向にあった。 次いで、オーステナイト相が再結晶可能な950℃で90%圧縮加工を行った後に、650℃でパーライト変態を行った試料と圧縮加工を行わずに同条件でパーライト変態を行った試料を作製した。これらの試料について、パーライト鋼の強度と強い相関が認められているラメラ間隔を評価したが、圧縮加工の有無に関わらずラメラ間隔は同じであった。一方で、ラメラ配向は、圧縮加工を施していない試料ではランダムだったのに対して、圧縮加工を施した試料では、圧縮軸に平行なラメラ配向の集積が大きかった。また、その集積量は、降伏応力を負荷しながらパーライト変態させた試料よりも2倍以上大きかった。 以上から高温下で加工を施すことでラメラ配向が制御できること、その条件によってラメラ配向の集積量を変化させらえること、強度特性と強い相関を示すラメラ間隔と独立してラメラ配向が制御可能であることがわかった。つまり、今後これらの試料を引張試験に供することで、ラメラ配向が力学特性に与える影響を明確にできる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱間加工によってパーライト鋼のラメラ配向制御が可能であることが示された。さらに、その加工条件によってラメラ配向の集積量が変化することもわかった。これらの結果は、ラメラ配向制御の基礎的な知見を与えるものであり、当初目標であったパーライト鋼のラメラ配向制御法の確立をおおよそ達成できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り、得られたラメラ配向を制御したパーライト鋼について引張試験を行い、その力学特性を評価する。これらの試料は、ラメラ間隔が同一としながらラメラ配向のみを変化させているため、ラメラ配向による力学特性の変化を明確化できる。
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