研究課題/領域番号 |
23K17818
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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研究分担者 |
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
池之上 卓己 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (00633538)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 電気化学的溶解 / 超濃厚水溶液 / 濃厚水溶液 |
研究開始時の研究の概要 |
白金族金属は、強力な酸やアルカリを用いても水溶液に溶解させることは困難である。本研究では、新規浸出液として、超濃厚金属塩化物水溶液の可能性を検討する。超濃厚水溶液は、従来の濃厚水溶液の延長では予測できない”異常な”特性を示すことから、これを利用することで難溶解性の白金族金属を溶解させられる可能性がある。本研究により、溶解挙動の詳細を明らかにし、最適な溶解条件を明らかにすれば、白金族金属のリサイクルプロセスの大幅な簡略化が可能となり、低エネルギー消費型の湿式リサイクルプロセスが実現できると考えられる。
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研究実績の概要 |
塩化物イオンを高濃度で含む水溶液への Pt の溶解挙動を熱力学的に考察するため、まず、既存の熱力学データに基づき、電位-pH 図を作成した。得られた電位-pH図より、Ptの溶解が起こり得る pH と電位範囲を推定した。 水と LiCl の モル比が 5:1 となるような高濃度の LiCl 水溶液中で、Pt をアノード溶解させることを試みたが、この水溶液には、Pt はほとんど溶解しなかった。また、電解によって水溶液の pH が上昇し、上述の電位-pH図から予測される Pt が溶解な可能な pH を超えることが確認された。このpHの上昇は、対極での水素発生によるものと考えられる。pHが高くなると、Pt表面上に酸化物層が形成され、Ptは溶解しなくなる。pHの上昇を抑制するために、少量のHClを電解液に加えると、Ptのアノード溶解の進行が確認できた。 Li+イオンの有無がPt溶解に与える影響を調べるため、モル比 H2O:HCl=5:1 となる塩酸水溶液を用いて、同様のPt溶解実験を行った。その結果、少量のHClを含む LiCl 水溶液中で Pt の溶解が進行した電位においても、高濃度のHClだけを含む水溶液ではPtの溶解量は検出下限を下回り、Ptはほとんど溶解しないことが明らかとなった。 高濃度でLiClを含む水溶液中では、水分子がLi+イオンに配位することにより、水の活量が低下するとともにCl-イオンの活量が増大することで、Ptの溶解が進行しやすくなると考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超濃厚水溶液中でのpHの影響が想定外に大きく、この把握・制御に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
LiCl以外に、CaCl2をはじめとする多様な塩化物塩を含む超濃厚塩化物水溶液中への白金族金属の溶解挙動の把握に努める。この際、リング―ディスク電極を用いた電気化学的計測法を用いることで、溶解速度を定量的に測定し、溶解速度を増大させる条件を明らかにする。
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