研究課題/領域番号 |
23K17819
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
趙 研 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00633661)
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研究分担者 |
安田 弘行 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60294021)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 新規析出強化 / 金属間化合物 / 軽量耐熱合金 / ナノ析出物 / 格子ミスフィット / 耐熱bcc合金 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、bcc Fe母相中のすべりがNiAlを強制的にせん断することで発現する特異な整合ナノ析出強化に着目し、600℃で500 MPa以上の強度を示す600℃級β型耐熱Ti合金の具現化を目指す。そのため、このナノ析出強化が発現する結晶学・組織学的な条件やβ型Ti合金でその条件を満たすための合金探索、さらには、本強化が発現するβ型Ti合金の変形挙動を明らかにする。さらに、全てのbcc合金に適用可能な、整合ナノ析出物による変形因子制御の学理を構築し、bcc耐熱合金実現への扉を開く。
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研究実績の概要 |
2023年度は、bcc Fe合金にて見出した「母相(bcc Fe)と析出物(B2 NiAl)の主すべり系の差異による新規析出強化機構(Slip frustration hardening, SFH)」をbcc Ti合金においても発現させるため、材料学的視点からその発現条件の解明を目的とした。そこでまずは、Fe-Al-Ni系合金に対して母相に優先固溶するMoを0~10 at%添加することで母相格子定数を大きくし、B2 NiAl析出物との格子ミスフィットを系統的に変化させた。これらの合金について、降伏応力との関係からSFHが発現する格子ミスフィット条件を調査した。その結果、少なくとも格子ミスフィットが0.3%以内であればSFHが発現することを明らかとした。さらに、同合金に対して種々の温度で熱処理を施すことでB2 NiAl析出物の形態(粒径、体積率)を変化させ、SFHが発現する条件を調査した。ここでは、粒径25 nm以下と体積率7%以下を同時に満たす場合にSFHが発現することがわかった。加えて、bcc Ti合金中でのB2型整合ナノ析出物形成に向け、Ti-Fe系合金中にB2 FeTi析出物を微細に析出させ得る合金組成の探索を実施した。その結果、ナノ析出物を得ることが可能な合金元素、合金組成さらには熱処理温度を特定することに成功した。以上の成果をもとに、bcc Ti合金においても同様の条件を満たすナノ析出物を得ることでSFHの発現が期待され、600℃で500 MPa以上の降伏応力を有する合金の実現が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、SFH発現のための結晶学的、組織学的な条件を明らかとすることに成功した。これに加えて、当初の予定を超えてB2ナノ析出物を有するbcc Ti合金の化学組成および析出物形態を最適化するための熱処理条件を明らかとした。これらは、bcc Ti合金においSFHを発現させる上で極めて重要な知見であることから、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本年度明らかとしたSFH発現条件を満たす母相、析出物ペアの探索を行う。ナノ析出物の形成には本年度すでに成功していることから、特に格子ミスフィットに着目して合金組成および熱処理条件を調整する。さらに、SFHの発現が確認された後には、最大強度獲得のための組織設計指針の提案を目指す。ここでは、温度-時間-冷却速度を系統的に変化させた熱処理を施すことで、ナノ析出物の形態を制御し、合金強度と組織形態の関係を解明する。
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