研究課題/領域番号 |
23K17826
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
津田 健治 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00241274)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 電子線インコヒーレントチャンネリング(ICP) / カーバイド添加元素 / 収束電子回折(CBED) / 多重散乱・電子チャンネリング / 高クロム鋳鉄 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノメーターサイズの微小電子プローブを用いる、電子線インコヒーレントチャンネリング法および収束電子回折法という2つの手法を、マルチ電子プローブとして複合的に高クロム鋳鉄試料の局所結晶構造解析に適用する。高クロム鋳鉄カーバイド相における各添加元素の結晶学的位置を明らかにして、複雑な階層構造を持つ実用材料である高クロム鋳鉄の、添加元素による材料特性制御の精密化を目指す。
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研究実績の概要 |
高クロム鋳鉄中のM6Cカーバイドに、特性X線検出器およびビームロッキング機能を付加した透過型電子顕微鏡を用いて、電子線インコヒーレントチャンネリング(ICP)法を適用し、単一グレインからC, Si, Cr, Fe, Mo各元素の特性X線角度分布パターンを得た。元素ごとに特徴的な角度分布を示しており、これは、多重散乱による電子線チャンネリング効果を通して各元素の結晶学的位置情報が反映されていることを示している。収束電子回折法も併用して結晶方位制御を行った。 現在、このデータに対して、添加元素の結晶学的位置の異なるM6Cカーバイドの結晶構造モデルを複数作成し、特性X線の角度分布強度シミュレーションを行い、実験を再現できる結晶構造モデルの探索を行っている。特性X線の角度分布強度シミュレーションには、OxleyとAllenによって開発されたシミュレーションコードICSCを用いた。 また、収束電子回折法による局所構造解析に向けて、われわれが独自に開発している動力学回折(多重散乱)計算コードMBFITの機能拡張、特に、電子プローブ透過方向に異なる構造が積層する場合や、電子プローブに垂直な方向に局所構造変化が存在する場合に、動力学回折計算を行う機能の追加にも取り組んだ。これらにより、結晶界面や、添加元素の不均一分布のような、周期構造を破る不均一性を持つ試料に対しても動力学回折計算が実行可能となり、実用材料への適用範囲が広がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験データ取得および特性X線強度分布シミュレーションによる解析は順調に進行しており、さらに追加の実験を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
異なる複数の結晶方位からの電子線インコヒーレントチャンネリングパターン(特性X線角度分布パターン)を得ることで、より多くの情報を得て3次元的なカーバイド添加元素の構造モデルを作成し、局所構造解析につなげる。また、別のカーバイドM7C3、M23C6等についてもデータを取得し、シミュレーションと実験の比較により構造モデルを構築する。 また、結晶収束電子回折法による局所構造解析のために、動力学回折計算コードMBFITの機能拡張を継続する。特に、結晶構造パラメーター最適化のためのより効率的なアルゴリズムを複数検討する。
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