研究課題/領域番号 |
23K17827
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平木 岳人 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (60550069)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 固体電解精錬 / 高純度アルミニウム / 不純物除去 / リサイクル / 資源循環 / コンデンサ |
研究開始時の研究の概要 |
コンデンサやリチウムイオン電池産業で高い需要がある純度99.99%以上の超高純度アルミを、固体電解法によって安定的に製造する全く新しいプロセスの実証に挑戦する。本研究では、固体電解法における電解セル仕様の決定、電解質・電解条件の選定、エネルギー評価、大型試験を2年間の研究期間で実施する。従来のエネルギー多消費で精製純度の安定しないプロセスからの脱却と、高いCO2排出削減を将来的に達成する。さらには、国内アルミスクラップを原料としてコンデンサ等に用いる超高純度アルミを製造する一貫プロセスが達成されれば、極めて環境に優しい純国産アルミコンデンサを市場へ提供でき莫大な経済効果も期待できる。
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研究実績の概要 |
コンデンサー等に利用される超高純度な金属アルミニウムを高効率に生産可能なプロセスの構築を目的として、溶融塩電解法を用いた金属アルミニウムの精製に関する検討を行った。特に今年度においては、様々な条件で精製試験を可能とする試験装置の設計製作を試行錯誤して行った。製作した試験装置は300mL規模の溶融塩を設置可能な雰囲気制御型の縦型式加熱炉をベースとし、事前に真空処理を行うことで雰囲気中の水分を十分に除去可能な仕様とした。また真空乾燥機にて予め潮解性の高い溶融塩から水分を除去するための設備も併設し、試験における系内の水分を徹底的に除去できるようにした。これは溶融塩電解において水分の存在が精製効率の低減に影響を与えることが一般的に知られているためである。溶融塩としては塩の蒸気圧が低いこと、共晶温度が適切であること、および塩内でのアルミニウムイオンのスムーズな移行を考慮して55.7mol%塩化リチウム-39.3mol%塩化カリウム-5mol%フッ化アルミニウムを初期組成として設計した。るつぼにはグラファイトを用い、電解温度は500℃前後で試験を行うこととした。超高純度アルミニウムを析出させるカソード電極には99mass%アルミニウム板を用い、微量な不純物を含むアノード電極には初期物質として協力企業から提供されたアルミニウム新地金を切り出したサンプルを用いることとした。試験中の雰囲気は高純度アルゴンガスを流通させることで酸素や水分が流入しない雰囲気を設計した。これらの設計指針に基づき溶融塩温度を直接測定可能な熱電対を導入でき、なおかつ各電極を接続して目的の電流を導入可能とするフランジを備えた試験装置を製作することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販されていない溶融塩電解のための実験装置について、本研究において必要な評価水準を満たすレベルの装置を製作することができた。また試運転において不純物を含む金属アルミニウムは順調に電解ができており、得られる析出物の評価が可能であることを確認できている。既に溶融塩の組成も設計できており、様々な試験条件でトライすることによって最適な超高純度アルミニウムの精製条件や反応メカニズムの解析ができる環境を整えることができていることから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
微量な不純物を含む原料サンプルとして海外製の鉱石を製錬した新地金と国内の市場から得られるスクラップをターゲットとし、含まれている様々な微量元素の除去挙動をトレースすることで本プロセスのメリットを明確にする。また得られる超高純度アルミニウムに含まれる極微量元素の定量方法を確立し、評価することで市販の超高純度アルミニウムとの比較を行う。
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