研究課題/領域番号 |
23K17848
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 元 九州大学, 工学研究院, 教授 (40336003)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 混相流 / 多孔質構造 / 電気化学 / 粒子制御 / スラリー |
研究開始時の研究の概要 |
各種エネルギー機器で用いられる多孔質電極は,外部からの電子移動経路を保持するために,境界壁面から連結する自立構造を有する。電気化学反応はその反応におけるエネルギー損失の低減が必要であるが,その損失は電極表面での反応抵抗のみならず,物質拡散抵抗や伝導抵抗に依存する。そこで電解液や反応種の流通反応系において,固体電極粒子も混合させたスラリー状態で流動させ,その動的な流動過程の中で境界壁からの連続した粒子連結を形成できれば有効ではないかと考えた。電気化学と混相流の新たな融合につながると考える。本研究では「電位印加流動場における粒子分散制御の技術立証とそれを用いた電気化学反応場の最適化」を目的とする。
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研究実績の概要 |
多くのデバイスで用いられている多孔質電極は、外部からの電子移動経路を保持するために、境界壁面から連結する自立構造を有する。したがって固体部の体積割合は30%~40%程度となる(参考論文1)。電気化学反応はその反応におけるエネルギー損失の低減が必要であるが、その損失は電極表面での反応抵抗のみならず、物質拡散抵抗や伝導抵抗に依存する。この現状から、電解液や反応種の流通反応系において、固体電極粒子も混合させたスラリー状態で流動させ、その動的な流動過程の中で境界壁からの連続した粒子連結を形成することに挑戦する。電気化学と混相流の新たな融合、そして新たな反応工学分野の理論構築につながると考える。本研究では「電位印加流動場における粒子分散制御の技術立証とそれを用いた電気化学反応場の最適化」を目的とする。初年度はカーボンブラック担持電極粒子の混合インクの粒径分布に及ぼす、各種条件を実験計測と個別要素法を用いた数値解析により明らかにした。古典的DLVOO理論に電解質被覆を考慮した理論モデルを検討し、さらに電位印加の影響を反映したモデル改良を進めた。また動的粒子連結の計測手法の確立を目指し、無反応系にて、動的粒子連結を計測・観察する方法を検討した。当初はレーザー回折による粒子径分布計測装置を改良し、電位印加可能な計測セルを作製し、粒子径計測と内部抵抗計測を同時に行い、周波数応答解析により粒子連結による抵抗成分を分離し、内部状態を推定することを初年度に完成させることで取り組んだが、市販のレーザー回折粒子径計測の装置そのものを改造することが困難であり、微小流通セルとマイクロスコープを組み合わせた光学評価による治具系の開発を進めた。電位印加の電極面を左右に配置した微小流通セルを作成するにあたり、3Dプリンターを導入し、流路ピッチの異なる数種のセルを準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のレーザー回折式粒子径計測装置の改造(電位印加のための電極を拡散セルに配置、また配線を試料室内に格納)が困難であり、電位印加時の粒子分布状態を推定する新たな方法として、微小流通セルと光学系を用いた直接観察方式に切り替えた。微小粒子のトラッキングにサイズ制限が生じるが、本研究で目的とするμmオーダーの粒子集積は凡そ評価可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の初年度の治具開発がやや遅れたため、2年目に行う理論モデル構築の着手を速めた。したがって次年度は電位印加の粒子集積の動的観察装置を完成し、またモデルを完成し、目的の粒子集積と電気化学反応の動的構造設計の道筋を立てる。
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