研究課題/領域番号 |
23K17867
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
遠藤 政幸 関西大学, 研究推進部, 特別任命教授 (70335389)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | DNAナノ構造 / 転写制御 / 遺伝子発現デバイス / 分子ロボット / DNAオリガミ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、細胞内の任意の場所で転写を行える「遺伝子発現デバイス」を構築する。このデバイスは中空の3次元DNAオリガミ構造体を筐体として転写に必要な分子を集積し作成する。また、細胞内の特定の場所に局在化させるための標的分子をデバイス表面に結合する。これにより、細胞内の特異的な場所での転写や細胞の形態変化の誘導などを積極的に行える分子デバイスを創生する。
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研究実績の概要 |
遺伝子からRNAやタンパクを合成する転写翻訳の自由な制御は分子テクノロジーの重要なテーマであり、細胞や生体の操作にも応用できる。本研究では、DNAナノ構造上で転写の制御を行う遺伝子制御システムを導入した「遺伝子発現デバイス」を構築する。これにより、細胞内で時空間を制御して転写を行う分子システムを開発する。本年度は、制御可能な転写系の構築と発光性RNAアプタマーSpinachとBroccoliを使用した発現の確認系の構築を行った。T7プロモーターの一部位を欠損したDNA鎖を用い、欠損部位と相補鎖DNAを制御分子として転写を行った。その結果、制御DNA鎖の欠損によって転写が大幅に抑制されたのに対して、制御DNAの添加によって、通常通りの転写が行われた。これによって、有効なON/OFFスイッチングが得られた。また、リポソームを使用して、その内部に転写系を構築した。転写系は界面通過法によりリポソーム内に封入した。共焦点蛍光顕微鏡観察の結果、制御DNA鎖の添加により、Broccoli アプタマーの生成が確認され、リポソーム内でのRNA合成が確認された。作成するRNAとして新規なRNAオリガミ構造体を設計し、転写後の構造体生成の確認と1次元と2次元集合体へのアセンブルを原子間力顕微鏡(AFM)により確認した。今後これらのRNAオリガミをリポソーム内で転写することにより、リポソームの動態の変化を観察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、制御可能な転写系の構築と発光性RNAアプタマーSpinachとBroccoliを使用した発現の確認系の構築を行った。T7プロモーターの一部位を欠損したDNA鎖を用い、欠損部位と相補鎖DNAを制御分子として転写を行った。その結果、有効なON/OFFスイッチングが得られた。また、リポソームを使用して、その内部に転写系を構築した。転写系は界面通過法によりリポソーム内に封入した。共焦点蛍光顕微鏡観察の結果、制御DNA鎖の添加によるRNAの生成が確認された。作成するRNAとしてRNAオリガミ構造体を設計し、転写後の構造体生成の確認と1次元と2次元集合体へのアセンブルをAFMにより確認した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果を踏まえ、以下の4項目について研究を進める。 (1)転写活性化を制御するプロモーター部位への分子スイッチの作成を行う。 (2)外部からのスイッチング制御システムとして、光ケージ分子を導入し光照射による転写の開始系を構築する。酵素とプロモーター間の距離を光ケージ分子で制御する。 (3)リポソームへの導入内へ作成した遺伝子発現制御系を界面通過法で封入し、光照射による転写活性のレベルを共焦点顕微鏡によりタイムラプスで検討する。 (4)RNAオリガミ構造体のリポソーム内部への封入とその集合体形成の動態を共焦点顕微鏡により観察する。
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