研究課題/領域番号 |
23K17872
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (70280998)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 発生胚 |
研究開始時の研究の概要 |
受精卵の胚発生は、遺伝子・生化学的因子に加えて、細胞の力学特性(メカニクス)が密接に関係していると考えられている。しかし、発生胚は極めて柔らかく、外部刺激に対して脆いため、発生胚メカニクスのタイムラプス計測は困難であった。最近、申請者は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて発生胚の弾性を計測することに成功し、2次元(2D)の胚細胞メカニクスが明らかになってきた。一方で、発生胚の3D挙動は不明であり、その粘弾性(レオロジー)計測技術は未開である。本研究では、発生胚レオロジーの3Dナノ計測技術を開発する。そして、原腸陥入近傍の発生胚レオロジーの3D計測に挑戦する。
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研究実績の概要 |
受精卵の胚発生は、遺伝子・生化学的因子に加えて、細胞の力学特性(メカニクス)が密接に関係していると考えられている。しかし、発生胚は極めて柔らかく、外部刺激に対して脆いため、発生胚メカニクスのタイムラプス計測に研究は少ない。最近、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、極めて柔らかい発生胚のメカニクスのタイムラプス計測が可能になりつつあるが、発生胚の深さ方向の力学計測技術は未開である。細胞メカニクスの主要因子である細胞骨格構造は、発生胚の表層(皮層)と内部において集積・脱離が制御されている。したがって、発生胚メカニクスの機序解明には、発生胚の深さ方向を含む3次元(3D)のレオロジー計測技術が不可欠である。本研究では、AFMの力学応答曲線のする新手法を提案し、発生胚レオロジーの定量3D計測システムの開発を目的としている。令和5年度は、3D解析を高速化するソフトウェア技術を開発した。スパースな画像を再構成することが可能な圧縮センシング法を用いて、細胞メカニクス像を再構成できることを明らかにした。また、発生胚細胞の間期において、ドット状の硬化構造が出現することを発見した。そして、この構造が、細胞分裂現象を制御している可能性があることが示唆された。さらに、 ボルツマンの重畳原理に基づく解析法と粘弾性接触理論を組み合わせた解析法を検討し、初期卵割期の各々の細胞のレオロジーを追跡することに成功した。正弦波力場の周波数(速度)と振幅(押込み量)を変動制御する新規AFM法の開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AFMの力学応答曲線のする新手法を提案し、発生胚レオロジーの定量3D計測システムの開発を目的としている。3D解析を高速化する技術として、圧縮センシングを用いた画像処理的に高速化する方法を提案した。また、発生胚細胞の間期において、細胞内にドット状の細胞硬化現象が発見した。このドット形成の空間分布が、細胞分裂方向と密接に関係していることを明らかにした。さらに、 正弦波力場の周波数(速度)と振幅(押込み量)を変動制御する新規AFM法について検討した。ボルツマンの重畳原理に基づく解析法と粘弾性接触理論を組み合わせた解析法を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
正弦波力場の周波数(速度)と振幅(押込み量)を変動制御する新規AFM法を開発する。また、ボルツマンの重畳原理に基づく解析法と粘弾性接触理論を組み合わせた解析法を確立する。そして、発生胚の3Dレオロジー構造を明らかにする。
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