研究課題/領域番号 |
23K17881
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナノ半導体 / エレクトレット / 半導体ナノワイヤ / 熱電変換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、エレクトレット化した絶縁膜によって被覆されたコア-シェル構造SiNWを実現して、同ワイヤの熱電性能を飛躍的に向上させる。具体的には、エレクトレット化した絶縁膜により、ナノワイヤ界面近傍でのみ電子状態密度を高める。これにより、界面近傍でのみキャリアの拡散と移動を促進し、ゼーベック係数および電気伝導率の増大を図る。その一方で、キャリア濃度が低下したSiNWコア領域で、一次元ナノ構造特有のフォノン散乱を維持して熱伝導率を低減させ、結果としてSiNWの「無次元性能指数:ZT」の増大を導く。本研究では、この新しい概念により、低次元半導体ナノ材料の熱電性能向上に関する新しい道筋を開拓する。
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研究実績の概要 |
当申請の研究目的は、エレクトレット化絶縁膜を被覆したコア-シェル構造シリコンナノワイヤ(SiNW)を実現し、同ナノワイヤの熱電性能を飛躍的に向上させることである。具体的には、エレクトレット化した絶縁膜をSiNWに被覆することで、ナノワイヤ界面近傍でのみ電子状態密度を高める。これにより、界面近傍でのみキャリアの拡散と移動を促進し、ゼーベック係数および電気伝導率の増大を図る。その一方で、キャリア濃度が低下したSiNWコア領域では、一次元ナノ構造特有のフォノン散乱を維持して熱伝導率を低減させ、結果としてSiNWの「無次元性能指数:ZT」の増大を導く。本研究では、この新しい概念を具現化した「コア-シェルSiNW集積マイクロ発電デバイス」を新開発し、低次元半導体ナノ材料の熱電性能向上に関する新しい道筋を開拓する。 研究の第一年度に当たる令和5年度は、「コア‐シェルSiNWの形成」および「絶縁層のエレクトレット化」を具体的研究実施項目に設定した。前者においては、SiNW成長の際に用いる金ナノ粒子触媒を、MACE (Metal assisted chemical etching)法によりSi表面上に埋め込み処理を施し、その後、Vapor-liquid-solid(VLS)法により直径50~100nmのp型SiNWを結晶成長させた。成長実験は成功したものの、垂直成長したSiNWの割合は全体の30%程度であり、更なる高精度な成長方向制御が必要である。一方、後者では、ALD(Atomic Layer Deposition)プロセス中のAl2O3薄膜に電子照射することで、Al2O3膜内の負の固定電荷量が増大させることに成功し、同膜のエレクトレット化を実現した。今後は、更なる電荷量の制御性を高めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VLS法によるp型SiNWの結晶成長は成功したものの、垂直成長SiNWの割合は全体の30%程度であり、更なる高精度な成長方向制御が必要である。垂直性が悪い場合は、リソグラフィを使ったトップダウンによるNW形成も視野に入れる。一方、ALDプロセス中のAl2O3膜に電子照射することで、負の固定電荷が増大したエレクトレット膜になることを確認したが、電荷量の制御までには至っていない。今後は、ALD装置を改良し、電子照射と成膜を真空下で同時に行っていく必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、上記課題の解決を図る。垂直成長SiNWの実現していくためのボトムアップVLSプロセスの見直しを実施する。具体的には、VLSプロセス中での金ナノ共晶液滴の形成方法を文献調査しながら今一度見直し、どのような方法がSiNW垂直成長性を高めるのか検討する。なお、垂直成長性の改善が見られない場合は、リソグラフィを使ったトップダウンによるNW形成方法を採用する。 一方、Al2O3エレクトレット膜内の電荷量制御のため、電子照射と成膜を真空下で同時に実行できるようにする。具体的には、ALD装置にゲートバルブを新たに設置し、大気解放することなしに、電子照射と成膜を交互に実施できるようにする。
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