研究課題/領域番号 |
23K17882
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
家田 淳一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (20463797)
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研究分担者 |
埋田 真樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 博士研究員 (90914060)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | スピントロニクス / インダクタ / 磁性絶縁体 / スピンホール効果 / マグノン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、スピンテクスチャの運動を用いた創発インダクタンスが発見され、インダクタの小型化を実現する技術として期待がもたれる。本研究では、これを発展させ、「磁気励起(マグノン)を介したスピンホール磁気抵抗の交流応答にインダクタンスが発現する」という着想を検証し、絶縁体ベースの薄膜素子「マグノニックインダクタ」の創出に挑戦する。
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研究実績の概要 |
近年、スピンテクスチャの運動を用いた創発インダクタンスが発見され、インダクタの小型化を実現する技術として期待がもたれる。本研究では、現在特殊ならせん磁性体でのみ実証された創発インダクタンスを、スピン流物理の舞台としてよく研究されている常磁性金属(Pt)と磁性絶縁体(Y_3Fe_5O_12; YIG)の積層系において検証し、磁気励起(マグノン)を介した素子「マグノニックインダクタ」を創出する。同素子は、インダクタンスが素子断面積に反比例するため、サブミクロンサイズの小型化が可能となり、磁気励起の特性周波数(数GHz)に至る広帯域の安定動作や磁場や電場による励起ギャップ変調を通じた可変インダクタンス等の特性を備え、実証できれば新たなデバイス開発の糸口となる。 当該年度の実施項目としては、本研究で利用する測定機器準備、測定用素子デザインと試料作製、低周波数帯でのインピーダンス測定などを実施し、並行して高周波数帯でのインピーダンス測定セットアップを進めた。具体的には、常磁性体層として用いるPtのスパッタリング装置を立ち上げ、数百umサイズのPtホールバーをメタルマスクで成形した。試料スピンホール磁気抵抗測定からスピンホール角の見積もりとスパッタ条件の最適化を行った上で、低周波数帯でインピーダンス測定をしたところ、インダクタンス成分の面内磁場角度依存性が、スピントルクの影響を考慮しないと説明できない特異な振る舞いを示すことを発見した。さらに本測定を高周波数帯に拡張するため、コプレーナ線路への架橋構造を用いた測定系を構築し、バックグラウンドのSパラメータ測定を行うことで測定系の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、実験面では初年度で測定環境の整備、試料の作製と評価、同試料を用いた低周波数帯におけるインピーダンス測定の実施、解析方法の確立をした上で、結果の理論的な考察と系統測定を控える段階となったので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
実験面では創発インダクタに特有のサイズ依存性を調べるため、微細加工を用いて数umサイズの素子作製ならびにインピーダンス測定を行う。さらに初年度で作製した高周波数帯用セットアップを用いることで、インダクタンス成分の周波数依存性をSパラメータからのインピーダンスとして評価する。磁場強度依存性に基づくスピントルクが磁化ダイナミクスの駆動に及ぼす影響を検証する。 理論面では、インダクタンスの測定データにおける面内磁場方向依存性の起源について検討を進める。
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