研究課題/領域番号 |
23K17887
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芦田 昌明 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60240818)
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研究分担者 |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 蛍光ナノダイヤモンド / カソードルミネッセンス / 電気伝導 / 走査電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
10nmの極小サイズでも発光して量子センサとして高感度計測が可能な蛍光ナノダイヤモンド(FND)と走査電子顕微鏡を組み合わせることにより、電気伝導度や温度など複数の物性情報を高い空間分解能で効率的に測定できる多階層物性顕微鏡を開発する。具体的には、FNDをプローブとして試料表面に塗布し、そのカソードルミネッセンス(CL)を測定することで、試料との間の蛍光共鳴エネルギー移動などによるCLの変化を利用して電気伝導等の物性を可視化する。測定に時間がかかる走査プローブ顕微鏡と異なり、電子線を高速に広範囲に走査することで、マクロスケールにおける物性の画像化が簡便に行える新規技術となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、10nmの極小サイズでも発光して量子センサとして高感度計測が可能な蛍光ナノダイヤモンド(FND)と走査電子顕微鏡を組み合わせることにより、電気伝導度や温度など複数の物性情報を高い空間分解能で効率的に測定できる多階層物性顕微鏡を開発することである。そのため、FNDをプローブとして試料表面に塗布し、そのカソードルミネッセンス(CL)を測定することで、試料との間の蛍光共鳴エネルギー移動などによるCLの変化を利用して電気伝導などの物性を可視化する。 今年度は、まず FNDの塗布方法の確立を行った。既設のスピンコータを用いて、各種試料表面にFNDを均一に塗布する手法を探索した。その結果、最適なFNDの表面密度および表面形状を実現できるFND溶液の濃度、コータの回転速度などの条件をおおむね決定した。 次に、開発する手法の有効性を示すための被測定物質として、金属絶縁体転移を示す酸化物の作製を行った。こういった物質の表面にサイズや形状が制御された金属ナノ構造も作り込み、開発する手法の空間分解能評価の準備が整った。 同時に、CL測定系の改良を実施した。具体的には、既設の走査電子顕微鏡に、本計画で購入した特注装置を取り付け、既存系の集光効率を格段に向上することに成功した。さらに、CLの二光子相関測定の実験系を構築した。二光子相関を計測することで、FNDの発光中心の単一性や蛍光寿命の評価が可能となる。実際に、FNDの発光減衰の様子も観測した。 このように、多階層物性顕微鏡の開発に向けた準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、交付申請書に記載した全ての項目について、計画通りの進捗状況となっている。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者が他の事業に起因して取扱要領第17条に該当することとなったため、今年度は研究代表者のグループで計画全体を遂行する。当該分担者は本研究で開発する手法の有効性を示すために使用する試料の作製を行う役割であったが、研究実績の概要に記した通り、こうした材料やナノ構造の作製は終了している。このため、本計画の目的達成に支障はない。
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