研究課題/領域番号 |
23K17888
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
富永 依里子 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (40634936)
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研究分担者 |
岡村 好子 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (80405513)
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10647655)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | バイオミネラリゼーション / 海洋細菌 / 結晶成長 / 化合物半導体 / 細菌 / 量子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、細菌の呼吸鎖における金属イオンの酸化還元反応を活用し、省エネルギーで低コストかつ安全な化合物半導体の結晶成長技術の確立を目指す。これまでに研究代表者と分担者が得てきた硫化鉛 (PbS) や硫化カドミウム(CdS)、更に一部が結晶のInGaAsを水溶液中で合成する細菌を用いて、それらの菌が有するタンパク質やその他の有機分子を各種分析法によって解析し、細菌による半導体の合成機構の解明に向けた一助とする。その機構を元に、半導体の種類や、薄膜と量子ドットのような形状制御を細菌を用いることで可能とする技術を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究は、生物が鉱物を作り出す反応であるバイオミネラリゼーションを用いた化合物半導体の結晶成長に関するもので、本研究期間においては特に硫化鉛(PbS)を対象としている。当該年度、研究代表者と分担者は、既に獲得している海洋細菌叢の培養を工夫することで、PbS結晶の結晶化度に変化が生じることを明らかにすることができた。また、代表者はその結晶化度に変化のあった試料に対し、テラヘルツ(THz)分光装置を用いてTHzスペクトルを測定した。前述の結晶化度は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて解析しているが、その結果と連動してTHzスペクトルが変化していることを示唆する結果を得た。得られたTHzスペクトルとデータベースを比較したところ、THz吸収ピークと一致する有機分子の候補を挙げることができた。この候補として挙げた有機分子が細菌が有している分泌物等の物質と一致しているかどうか、今後は検証する必要がある。また、同一試料に対してフーリエ変換型赤外分光法の測定も着手することができた。他の検証法として分担者の協力の元、質量分析を用いた物質同定が必要であるといえる。
その他、作り分けが確実になりつつある当該年度に、PbS量子ドットの蛍光が測定可能な近赤外域での蛍光顕微鏡マッピング装置を構築することもできた。現在、量子サイズ効果の発現を実証するべく、細菌叢を用いて得ているPbS球状微結晶の蛍光を詳しく測定している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PbS球状微結晶と薄膜の作り分けに再現性が得られたこと、物質の同定に必要な解析評価法としてTHz分析やフーリエ変換型赤外分光法を用いた測定結果が得られたこと、成長しているPbS球状微結晶の蛍光測定が可能な光学測定系を構築し、実際に測定も行えていることなど、順調に研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
PbSの球状微結晶と薄膜の作り分けに寄与している細菌の分泌物を明らかにすることが本研究の主目的のため、当該年度に得た解析評価法による測定結果に加えて、質量分析を次年度に追加したいと考えている。すべての測定結果を総合して俯瞰することで当該目的を達成できると考えている。
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