研究課題/領域番号 |
23K17906
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
細越 裕子 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50290903)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 量子スピン / 有機磁性体 / 量子磁気相関 / 熱伝導 / 磁気相関 / パイ電子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、電子スピンの量子力学的本質であるスピンの向きの伝搬を、熱伝導を通して観測することを目指し、有機磁性体のパイ電子スピンを用いて理想的な量子スピン磁気格子を合成し、有機結晶に適したプローブの作成を行う。微視的な磁気測定と熱測定を組み合わせ、磁気相関と量子伝搬機構を考察する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、電子スピンの量子力学的本質であるスピンの向きの量子伝搬機構の解明を目指すものである。有機ラジカル磁性体の電子スピンは、スピン-軌道相互作用が小さく、スピンの向きの伝搬において量子揺らぎの効果が強く表れる特徴を持つことに着目し、分子設計性を利用した、スピン空間構造が制御された多彩な磁気格子の戦略的な合成を行った。室温大気中で安定かつ結晶性の良いニトロニルニトロキシド骨格をπ共役系に連結し、その分子平面の二面角の制御や、π共役系の拡張、π共役系の形の制御を通して、擬一次元、擬二次元磁気格子の合成を行った。隣接スピン間で磁気相互作用が競合するフラストレーション系物質を合成し、磁場中で特異な量子磁気状態を観測した。非対称分子を合成し、反転対称性のない空間群に結晶化することに成功した。静磁場中の磁化測定、パルスマグネットを用いた高速磁場掃引による磁化測定を行い、量子磁気状態を評価した。低温磁場中比熱測定によって量子相転移を考察した。さらに、有機微小単結晶試料を用いた熱伝導率測定を行うための装置開発を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機ラジカル磁性体を用いて、理想的なハイゼンベルクスピン系の一次元、二次元磁気格子を合成することに成功した。磁化および比熱測定により量子磁気状態を評価し、熱伝導測定システムの開発を行っているため。
|
今後の研究の推進方策 |
結晶格子の次元性、特に一次元、二次元性を制御した新物質合成を行う。磁気相互作用を制御し、各種物性測定が比較的容易な温度・磁場領域で多彩な磁気相をもつ物質開発を目指す。磁化および熱測定によって温度磁場相図を決定し、量子磁気状態を明らかにする。単結晶育成について改良を行う。熱伝導率測定に向けたシステム開発を行う。
|