研究課題/領域番号 |
23K17909
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 京都大学, 理学研究科, 教授 (50334339)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 超原子価ヨウ素 / 酸化 / C-H活性化 / 立体制御 / アルカン / 不斉合成 / C-H官能基化 / キラル酸 |
研究開始時の研究の概要 |
既存の不斉C-H官能基化に関する研究は「遷移金属触媒」の特性に大きく頼ったものであり、非金属条件で、なおかつ、立体制御を実現するための触媒的な手法は皆無である。本研究では、「非金属条件での新たな不斉C-H結合官能基化手法の探索」を目的に設定し、検証を行う。具体的には、超原子価ヨウ素とキラル強酸触媒のハイブリッド化によって超活性キラル化学種を発生させる手法の有効性について萌芽的検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究提案では、求電子性の高い高原子価カチオン性金属触媒とキラル酸をハイブリッド化してきた研究と超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3を強酸によって活性化できるという予備知見とを融合させることを目指している。初年度は、超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3によるアルカン活性化に関する基礎知見の収集、および、超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3によるアルキル超原子価ヨウ素活性種の発生について検討を実施した。その結果、テトラメチルシランと超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3からメチル超原子価ヨウ素活性種が-50度付近という極めて低温条件において温和に発生できることが判明した。さらに、発生させたメチル超原子価ヨウ素活性種のNMR観測によりメチル超原子価ヨウ素化合物の安定性に関する重要な知見を得た。また、メチル超原子価ヨウ素活性種の反応性についても検証を行い、スルホンアミドのような反応性の低い窒素原子とも反応が進行し、アルキル化による活性化とトランスアミド化が進行するという興味深い結果を得ることに成功した。スルホンアミドの活性化は既存手法が限定的であることから、2年目にも探索を継続し、将来的に基盤研究において展開するデータの収集を実施する。また、アルカン活性化に関しては、ブレンステッド酸の添加が活性化に有効であることはわかったが、一方で、反応性の観点からまだ十分とは言えないことも判明した。そこで、2年目では、超原子価ヨウ素に限らず、同族のハロゲンを活用したアルカン活性化を実現する超活性化学種の探索を進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3によるアルカン活性化に関する基礎知見の収集、および、超原子価ヨウ素I(OCOCF3)3によるアルキル超原子価ヨウ素活性種の発生について検討を実施し、概ね予定した通りの進捗である。アルカン活性化に関しては、当初想定したブレンステッド酸では活性化が十分ではないことがわかったが、2年目の計画を立案するための基礎データをしっかりと習得できた。また、アルキル超原子価ヨウ素については、想定以上の成果である。以上を総合的に判断し、概ね順調な進展であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
アルカン活性化に関しては、ブレンステッド酸の添加が活性化に有効であることはわかったが、一方で、反応性の観点からまだ十分とは言えないことも判明した。そこで、2年目では、超原子価ヨウ素に限らず、同族のハロゲンを活用したアルカン活性化を実現する超活性化学種の探索を進めることとした。また、メチル超原子価ヨウ素活性種の反応性については、新規性の高いものであり、2年目にもさらに学術的に新しい点を追求していくこととした。
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