配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
研究実績の概要 |
π結合は有機分子に多様な構造、反応性と機能を付与する重要な化学結合である。本研究では、これまでに安定に合成された例のない、π結合のみから構成される炭素-炭素結合(π型C-C単結合)を持つ化合物に着目し、今年度はその化合物を合成する上で重要な前駆体になる1,4-ジシラブタトリエンの合成条件の最適化を行った。その結果、1,4-ジシラブタトリエンの前駆体の合成スケールを従来の約3倍に向上させることを達成し、1,4-ジシラブタトリエンの前駆体をグラムスケールで合成することに成功した。続いて、合成した1,4-ジシラブタトリエンの前駆体を1,4-ジシラブタトリエンへ変換させる反応条件を精査し、反応に用いる還元剤を最適化することで1,4-ジシラブタトリエンの収率を従来の17%から42%まで向上させた。これにより100 mg単位で1,4-ジシラブタトリエンを合成することが可能になった。合成した1,4-ジシラブタトリエンを用いて、この化合物の詳細な紫外吸収スペクトル測定し、吸収の末端が800nm付近まで伸びていることを見出した。さらにこの化合物がエタノールと反応し、エタノールが1,4-ジシラブタトリエン部分に1,4付加することを見出した。更に合成した1,4-ジシラブタトリエンをビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エン誘導体へ光反応で変換させる条件を精査し、高強度のLED光を用いて照射波長を最適化することで、反応時間を大幅に短縮させることに成功した。このビシクロ[1.1.0]ブト-1(3)-エン誘導体は本研究で着目するπ型C-C単結合を持つ化合物を合成する上で重要な化合物であり、今後研究を進める上で十分な量を合成する方法を確立させた。
|