研究課題/領域番号 |
23K17913
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉沢 道人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70372399)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 芳香環カプセル / クロスリンク / 多空間 / 水溶化 / 超分子化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高い捕捉能と分離能を兼ね備えた新規な「多空間固体材料」の開発に挑戦する。その戦略として、優れた分子捕捉能を有する「芳香環カプセル」を金属イオンによりクロスリンクすることで大量合成可能な芳香環カプセル固体を作製する。この固体材料を活用することで、必須生体分子の高効率・高選択的な「捕捉と分離」を達成し、便利な高機能性空間ツールを創製する。
|
研究実績の概要 |
本年度は、有限な「芳香環カプセル」の優れた分子捕捉能を維持しつつ、それらの金属イオンによるクロスリンクで、無限の多空間骨格を有する「芳香環カプセル固体」の作製に挑戦した。その結果、カプセル外部に金属配位点を有する外面配位型のM2L4組成の芳香環カプセルの構築と外面配位型の芳香環カプセルの金属配位結合によるクロスリンクを達成した。まず、湾曲型3座ピリジル配位子は根岸・鈴木-宮浦カップリング反応を含む計3段階の反応で得た。次に、外面配位型のM2L4組成の芳香環カプセルの合成は、この新規配位子と金属イオンを加熱混合することで達成した。それらの構造は、NMRおよびMSで明らかにした。さらに、M2L4組成のクロスリンク芳香環カプセルの構築は、得られた外面配位型芳香環カプセル溶液に対して、2当量の金属イオンを加え加熱混合することで達成した。このクロスリンク芳香環カプセルは金属イオンの種類に依存して、シート状構造および粒子状構造を取ることをAFMで明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、カプセル外部に金属配位点を有する外面配位型のM2L4組成の芳香環カプセルの構築と外面配位型の芳香環カプセルの金属配位結合によるクロスリンクを達成した。まず、湾曲型3座ピリジル配位子は、1,3-ジブロモピリジンを出発原料に、根岸カップリング反応、鈴木-宮浦カップリング反応を含む計3段階の反応で得た。次に、外面配位型のM2L4組成の芳香環カプセルの合成は、この新規3座配位子とPd (II)またはPt(II)イオンをDMSO中、110度で混合することで達成した。それらの構造は、NMRおよびESI-TOF MSで明らかにした。また、M2L4組成のクロスリンク芳香環カプセルの構築は、得られた外面配位型芳香環カプセル溶液に対して、さらに2当量のPd (II)またはPt(II)イオンを加え110度で混合することで達成した。このクロスリンク芳香環カプセルは金属イオンの種類に依存して、数ナノメートルサイズのシート状構造(M = Pd)および粒子状構造(M = Pt)を取ることをAFMで明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として、クロスリンク芳香環カプセルの分子捕捉能を明らかにする。クロスリンクカプセル(M = Pd)の固体に対して、水中でイオン性色素分子を捕捉を検討する。また、この固体の中性色素分子や平面状有機分子に対する捕捉能も明らかにする。これらの分子の捕捉量について、クロスリンク前の芳香環カプセルの固体を用いた場合と比較して、芳香環カプセルのクロスリンクが捕捉能にどのような影響を与えるか、様々な分析方法で解明する。さらに、溶液中で、クロスリンク芳香環カプセルを用いたフラーレンの捕捉も検討する。予備的実験として、クロスリンク芳香環カプセル(M = Pd)のDMSO溶液にフラーレンC60を加え、加熱混合することで、フラーレンの捕捉体に由来する褐色溶液が得られいる。反応後のUV-visibleスペクトルなどで生成物の詳細な構造を明らかにする。
|