研究課題/領域番号 |
23K17941
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉安 和憲 京都大学, 工学研究科, 教授 (80469759)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 超分子ポリマー / 階層構造 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの場合(特に高濃度条件)で,超分子ポリマーは自発的にバンドル化や物理架橋を通じてゲル化あるいは沈澱する。このため,濃厚溶液を調整することや,それをさらにプロセスしてフィルム化することなどは非常に困難である。すなわち本研究目的を達成するための鍵は,マイクロメートルスケールの階層において,超分子ポリマー間の相互作用を制御することである。 本研究では,超分子ポリマー間の相互作用を制御するための分子設計指針を示し,続いて, 超分子ポリマーの濃厚溶液を調整, そのレオロジー測定等の物性研究を通じて,最終的には,得られた知見を活かして,超分子ポリマーのプロセスと材料化を行う。
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研究実績の概要 |
モノマー分子が水素結合などの弱い分子間相互作用で連結された 分子集合体は,「超分子ポリマー」と呼ばれ,容易にリサイクルできる新材料として大きな期待が寄せられている。しかしながら,超分子ポリマーを既存の高分子材料のように成形・加工するプロセスは全く確立されていない。その原因のひとつに,分子レベルからバルク材料にいたる10の7乗倍にもおよぶスケール階層性において,超分子ポリマー間の相互作用を精密に制御し,材料化につなげる方法論が開拓されていないことが挙げられる。 本研究では,超分子ポリマー間の相互作用を制御するための分子設計指針を示し,続いて, 超分子ポリマーの濃厚溶液を調整, そのレオロジー測定等の物性研究を通じて,最終的には,得られた知見を活かして,超分子ポリマーのプロセスと材料化を目的とする。 昨年度までにトリフェニレン誘導体のモノマーからなる超分子ポリマーに関して、モノマー外周部に長さの異なるアルキル鎖を導入し、超分子ポリマーの界面を乱雑にすることによって、超分子ポリマー間の凝集の軽減できることを明らかにしていた。今年度は、ポルフィリン誘導体を用いた同様の実験を行い、本申請課題で提案する分子設計指針が一般性のあるコンセプトであることを実証した。 さらに、溶液状態のみならず、溶融状態における超分子ポリマーの集合構造いついても研究を進めた。これは、申請の段階では計画していたことではなく、今年度の実験途中で発見した超分子ポリマーの高次構造形成から着想を得て展開したものである。非常に興味深いことに、共有結合性の高分子で一般的に見られる球晶構造が、超分子ポリマーにおいても形成されることがわかった。さらに、等温結晶化の条件によって、球晶の成長を制御し、超分子ポリマーの接着特性を制御できることを明らにとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本申請課題で提案している分子設計指針の一般性を明らかにした。さらに、当初の計画にはなかった、溶融状態での超分子ポリマーの形成機構について新たな知見を得た。これらの成果によって超分子ポリマーのプロセスと材料化が大きく進展する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、超分子ポリマーの溶液状態と溶融状態の両方に関して実験を進めることとした。共有結合性の高分子においては、溶液・溶融プロセスの両方において、様々な手法が確立されている。これらを超分子ポリマーのプロセスに流用できるかを見極め、超分子ポリマーの材料化への道筋をつける。
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