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高圧条件下の光触媒による結合反応の誘起

研究課題

研究課題/領域番号 23K17953
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
研究機関東京工業大学

研究代表者

宮内 雅浩  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (60443230)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード光触媒 / 高圧 / C2・C3生成 / チタン酸ストロンチウム / 温室効果ガスの資源化 / ドライリフォーミング / フィッシャートロプシュ / 半導体 / 結合反応
研究開始時の研究の概要

光触媒では困難であった「結合反応」を、低温・高収率で誘起することを目的とする。目的達成のため、本研究では光触媒分野ではあまり検討されてこなかった「高圧条件」に着目する。さらに、過度の酸化を防いで結合反応の収率を高めるため、「格子酸素のマネージ」をもとに触媒材料を創製する。すなわち、①光高圧リアクタの設計、そして、②格子酸素を媒介とする光触媒の創製を実施する。

研究実績の概要

光照射が可能な高圧仕様のフローリアクタを用い、メタンのドライリフォーミング(DRM)反応とフィッシャートロプシュ(FT)の二つの反応を単一のリアクタ内で400℃の低温条件で誘起することを試みた。
DRMを誘起する光触媒として、ロジウムを担持したチタン酸ストロンチウム(Rh/SrTiO3)を含浸法で合成した。また、FT触媒として、比表面積の大きいメソポーラスシリカを担体に用い、FT活性があるコバルトを担持した。コバルトイオンを水素還元してメソポーラスシリカに担持する際、水素のスピルオーバーを起こしてコバルトの還元を進めるために白金も担持した。すなわち、FT触媒としてメソポーラスシリカ上にコバルトと白金を共担持した触媒(Co,Pt/SiO2)を合成した。
フローリアクタの上流にDRM光触媒となるRh/SrTiO3、下流にFT触媒となるCo,Pt/SiO2を配し、水銀・キセノンランプを用いて紫外線照射をおこないながら、温度400℃にて圧力を変化させたときの出口側ガスを分析した。この結果、常圧条件ではFT触媒が作動しないため出口側にはC2の生成が認められなかったが、圧力を0.5MPa以上の条件にすることで顕著なエタンやプロパン等のC2、C3化合物の生成が確認できた。コントロールの実験として、①光触媒DRMのみ、②FT触媒のみのサンプルについて、同様の温度、圧力、光照射条件で評価したところ、①では合成ガスは生成してもC2は生成せず、②の条件では合成ガスもC2も生成しなかった。
光触媒DRMとFTをタンデム化することによって、単一のリアクタで温室効果ガスであるDRMガスからC2、C3化合物まで、従来は困難であった400℃の低温で結合反応を誘起できるシステムを開発することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既往の光触媒研究では「結合反応」誘起の報告例は少なく、本研究では、光触媒×高圧条件を用いることで、従来困難であった「結合反応」を、低温・高収率で誘起することを目標としていた。2023年度は、光照射が可能な高圧仕様のフローリアクタを用い、光触媒DRMとFTをタンデム化することによって、単一のリアクタで温室効果ガスであるDRMガスからC2、C3化合物まで、低温で結合反応を誘起できるシステムを開発することができたため、おおむね順調に研究は進展している。

今後の研究の推進方策

2023年度はDRM→FTのタンデムシステムで光触媒による結合反応を誘起することができた。一方、2024年度はこの反応にとどまらず、CO2の水素化によるメタノール生成(CO2 + 3H2 → CH3OH + H2O)のような工業的に有益な結合反応の誘起を試みる。触媒組成については、上記DRM反応に活性を示す材料がCO2還元にも有効であることから、SrTiO3などの金属酸化物をベースにメタノール生成に適した助触媒を探索する。光の侵入深さやキャリアの拡散長を考慮したナノ構造の最適化、ならびに、高圧条件下での金属/半導体界面における酸素イオン伝導など、各種因子と触媒活性の関係を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Steam reforming of methane by titanium oxide photocatalysts with hollow spheres2024

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Akira、Kujirai Tomoki、Fujita Takeshi、Abe Hideki、Miyauchi Masahiro
    • 雑誌名

      Sustainable Energy & Fuels

      巻: 8 号: 3 ページ: 516-523

    • DOI

      10.1039/d3se01346d

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and Characterization of the Orthorhombic Sn3O4 Polymorph2023

    • 著者名/発表者名
      Liu Yang‐Shin、Yamaguchi Akira、Yang Yue、Aisnada An Niza El、Uchida Sho、Abe Hideki、Ueda Shigenori、Yamaguchi Kenji、Tanabe Toyokazu、Miyauchi Masahiro
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 62 号: 17 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1002/anie.202300640

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rhombohedral boron monosulfide as a metal-free photocatalyst2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Miyazaki, Akira Yamaguchi, Haruki Kusaka, Norinobu Watanabe, Aufandra Cakra Wardhana, Satoshi Ishii, Akiyasu Yamamoto, Masashi Miyakawa, Takashi Taniguchi, Takahiro Kondo, Masahiro Miyauchi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 19540-19540

    • DOI

      10.1038/s41598-023-46769-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 触媒によるメタンドライリフォーミング反応の選択性制御2024

    • 著者名/発表者名
      金子浩明・張葉平・長井宏樹・山口晃・宮内雅浩
    • 学会等名
      第133回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 光触媒による気相二酸化炭素の還元2024

    • 著者名/発表者名
      宮内雅浩
    • 学会等名
      第28回シンポジウム「光触媒反応の最近の展開」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Stoichiometric Syngas Production in Dry Reforming of Methane by Photocatalyst2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Kaneko, Akira Yamaguchi, Masahiro Miyauchi
    • 学会等名
      The 14th Multidisciplinary International Student Workshop (MISW 2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] パターン化薄膜を用いた界面電荷移動遷移の機構解析2023

    • 著者名/発表者名
      宮内雅浩
    • 学会等名
      光触媒研究と開発技術の最新動向と将来展望2023(光触媒討論会2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Photocatalysis for energy production, artificial photosynthesis2023

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Miyauchi
    • 学会等名
      Committee of Asian Standardization for Photocatalytic Material and Products 2023 (CASP2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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