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カチオン・アニオン配列低秩序化の特異性を利用した蓄電池材料の革新

研究課題

研究課題/領域番号 23K17954
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
研究機関横浜国立大学

研究代表者

藪内 直明  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80529488)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワード蓄電池
研究開始時の研究の概要

固体中からの有限の大きさを持ったイオンの脱離・挿入には必然的に格子体積の変化を生じることになり、このような体積変化を繰り返すことで、セラミックス材料として脆性破壊を生じ、電極界面の喪失、粒子の孤立化 (微粉化) を生じる。そこで、非層状材料である高対称性・不規則配列型材料の開発を進め、次世代リチウムイオン電池用材料としての可能性を検討する。

研究実績の概要

本研究課題では従来型の層状材料、つまり、カチオンが "高秩序" に配列した二次元型構造からの脱却、及び、新概念としてカチオン・アニオンが "低秩序" に配列した不規則岩塩型のような、三次元の強固な骨格を有する新しい材料群に関する研究を遂行した。これら、低秩序型材料について、学術的な観点から各種の材料設計指針を確立し、その成果を元に従来材料では達成不可能な、高電圧化、高容量化、超寿命化を兼ね揃えた新しいインサーション電極材料の実現が期待できる。現在、多くの商用リチウムイオン電池でリチウムイオンを含有した層状構造の材料が用いられている。固体中から全てのリチウムを脱離させると、層間距離が大幅に減少し、結果として大きな体積変化と粒子の脆性破壊に繋がることが知られている。このような異方的な体積変化は高秩序構造に由来するものであることから、材料の構造としては低秩序な三次元骨格材料を利用した材料設計を実現する。このような材料はNbのようなd電子を持たないイオンを導入することで安定化が可能であり、本年度は低秩序材料として Li1.1Mn0.8Nb0.1O2 などの材料の評価を進めた。ナノサイズ化したLi1.1Mn0.8Nb0.1O2 は高エネルギー密度と実用的なサイクル特性を有することが確認され、その成果は高インパクトファクター学術誌である Advanced Energy Materials に掲載された (DOI: 10.1002/aenm.202304074)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本課題に関連して開発された 低秩序構造を有するナノサイズ Li1.1Mn0.8Nb0.1O2 に関する研究成果は高インパクトファクター学術誌である Advanced Energy Materials に掲載 (DOI: 10.1002/aenm.202304074) されており、学術的に優れた成果であることを示しているといえる。

今後の研究の推進方策

低秩序型構造では、高秩序構造の材料とは異なり、多種多様なイオンの配列が存在することから、直線的な Ni-O-Ni や Co-O-Co といった特異的な結合が形成、さらに、同結合の反結合性が強いため、酸素が電荷補償を担う (アニオンレドックス) 反応が高電圧で可逆的に進行することをこれまでに明らかにしている。これは従来材料でのニッケル種のカチオンレドックスとは対象的な現象であり、このような反応を利用することで高電圧化・高密度電荷蓄積 (高容量化) の実現が期待できる。また、三次元低秩序材料はリチウム脱離時の体積変化が等方的であるという特徴を有している。ある種の遷移金属イオンは充放電時の酸化数変化に伴い収縮し、イオン半径変化をトリガーとして、イオンは隣接した面共有している四配位サイトへ移動することで安定化する。その結果、カチオン・アニオン静電相互作用が変化し、イオンの移動は反対に格子を膨張させる要因となる。電気化学的反応を駆動力としたイオン収縮と移動、それに伴う静電相互作用を制御することで、理論的には高容量と格子の膨張・収縮の抑制は両立可能であると考えられ、予備的な検討結果として、格子体積変化が無く、従来のインサーション材料では実現不可能な長寿命な材料も見つかっている。今後、低対称性材料でのみ可能となる新たな材料設計指針を確立し、さらなるエネルギー密度の向上に加え、インサーション材料の膨張・収縮を制御するための学術的方法論の確立を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] University Grenoble Alpes(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Unlocking Electrode Performance of Disordered Rocksalt Oxides Through Structural Defect Engineering and Surface Stabilization with Concentrated Electrolyte2024

    • 著者名/発表者名
      Zhang Yanjia、Ugata Yosuke、Campeon Benoit Denis Louis、Yabuuchi Naoaki
    • 雑誌名

      Advanced Energy Materials

      巻: 14 号: 23 ページ: 2304074-2304074

    • DOI

      10.1002/aenm.202304074

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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