研究課題/領域番号 |
23K17955
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
戸田 健司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20293201)
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研究分担者 |
渡邉 美寿貴 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60847987)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 蛍光体 / 太陽電池 / 発光波長 / 波長変換 / 結晶構造 / シリコン太陽電池 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
単結晶シリコン太陽電池の変換効率を低下させる最大の原因は、太陽光スペクトルとシリコンの吸収波長との不一致である。本研究では、より太陽光中での分布が大きい可視光を近赤外光へ変換することにより、シリコン太陽電池の大幅な変換効率向上を目指す。 本研究の達成により、太陽光発電の発展に大きく寄与することができ、エネルギー問題解決の一助になると考えられる。
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研究実績の概要 |
シリコン太陽電池の変換効率を低下させる最大の原因は、太陽光スペクトルとシリコンの吸収波長との不一致である。シリコン太陽電池の効率向上に向けた波長変換材料はこの問題を解決す手段の一つとして、近年注目されている。しかし、その多くは「紫外光を可視光」もしくは「赤外光を近赤外光」へと変換する研究となっている。本研究では、より太陽光のエネルギーが大きい可視光を近赤外光へ変換することにより、シリコン太陽電池の大幅な変換効率向上を目指した。 近年、研究室レベルでは、紫外光を可視光に変換する波長変換材料(蛍光体)を用いる事で3%の変換効率向上が報告されているが、本研究でより長波長の可視光を変換する場合5%以上の変換効率向上が見込まれる(企業よりの未公開データでは、従来の封止シート中の紫外線吸収剤を単純に紫外から可視光(赤色光)への波長変換材料に置き換えることで0.3%の向上が得られている)。本研究の達成により、太陽光発電の発展に大きく寄与することができ、エネルギー問題解決の一助になると考えられる。 本研究は、結晶シリコン太陽電池のエネルギー変換効率を向上させる波長変換材料を、高速かつ網羅的に探索することによって開発する事を目的とした。 現在まで太陽電池用波長変換材料として高いポテンシャルを持つ蛍光体の探索を重点的に行った。探索は効率化を重視し、結晶データベースからの物質の抽出と、理論計算による予測から適切な新物質の選定を行った。現在まで従来まで報告されていない三次元骨格を持ったMn4+系赤色蛍光体とB-Nを構造中に含む窒化物系蛍光体で深赤色から赤外光で発光する新規蛍光体の発見に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。 発光波長の測定に用いる分光器の導入により、高速な評価が行えるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
Eu2+やCe3+イオンを発光イオンとする波長変換材料において、変換前後の波長がEu2+やCe3+イオン周囲の陰イオンにより作られる配位多面体の幾何学的形状に強く依存することを見出した。八面体結晶場においては、発光波長は配位多面体の歪に敏感に影響されており、半定量的な発光波長予測が可能になった。特に、窒化物や酸化物系で黄色以上(570 nm)に発光報告が存在しないCe3+において、酸化物において5種もの赤色 (600 nm) 以降に発光を有する波長変換材料(蛍光体)の合成に成功した。 今後は、計算科学的アプローチを導入することで材料設計指針を提案していく。この我々独自の材料設計指針は、本研究である結晶シリコン太陽電池用の波長変換材料の開発において非常に有用性が高いと考えられ、積極的な活用を予定している。
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