研究課題/領域番号 |
23K17981
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 教授 (80379304)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ウイルス / カプシド蛋白質 / 立体構造 / 人工ナノ粒子 / ウイルス様粒子 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルスは、蛋白質サイズの約百倍以上になる核酸を収納するために最も対称性の高い正 20面体配置の粒子を形成する。本課題の目的は、たった一種類のウイルスカプシド蛋白質だけで粒子を組み上げることができる機序・階層性を解明し、その情報を基に粒子サイズを人工的に制御することである。本研究では、これまでの研究で培ってきた金属蛋白質の物性原理をウイルス粒子研究に初めて導入するため、国際的にみても類をみないウイルス様粒子制御研究となり、画期的な「pH感受性 ナノツール」の創製に繋がる。
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研究実績の概要 |
ウイルスは、蛋白質サイズの100倍以上になる核酸を収納するために最も対称性の高い正 20面体配置の粒子を形成する。本課題の目的は、たった一種類のウイルスカプシド蛋白質だけで粒子を組み上げることができる機序・階層性を解明し、その情報を基に粒子サイズを人工的に制御することである。 本課題では、カプシド蛋白質の形成途上の中間体オリゴマー状態をX線またはクライオ電顕で決定し,相互作用様式を明らかにする。これらの構造を模して、コード遺伝子の融合/削除 により中間体オリゴマーの安定化→粒子形成(in vitro)により粒子サイズ・形状デザインを可能にする。さらに、金属クラスターを分子会合の「糊」として利用することで「pH 感受性粒子」を創作する。 今年度は、ウイルスカプシド蛋白質の大腸菌での大量発現・精製を試みた。変異導入および可溶化融合蛋白質の組み合わせを含めると30種類以上の発現系を構築し、蛋白質精製をおこなった。ジャーファーメンターによる大腸菌大量培養と細胞破砕をおこなった結果、すべての蛋白質は不溶性画分に発現することがわかった。可溶化タグを融合させて可溶性発現にもトライしたが、すべての条件において不溶性画分に発現した。そこで、変性条件下において、種々のカラムクロマトグラフィーを組み合わせることでカプシド蛋白質を精製した。精製カプシド蛋白質の可溶化においては、それぞれの蛋白質の可溶化条件をスクリーニングキットを用いて最適化した。その結果、植物ウイルス由来のカプシド蛋白質において、可溶化性の人工粒子形成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々のウイルスに由来するカプシド蛋白質を順調に得ることができている。すべてが不溶性画分に発現したため、可溶化操作が必要ではあるが、蛋白質自体の発現に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
今後、粒子サイズの改変に向けて配列のトリミングを進める。構造形成に関与する配列を変更することによりオリゴマー状態(3量体、5量体)の構造が変化し、ひいては粒子サイズの改変につながることを計画している。また、これらのオリゴマー状態を解析することにより、粒子形成メカニズムを理解する。立体構造解析を含め、分子レベルでの解析によって粒子形成の安定化因子を化学的に捉えることで、粒子形成・分解を自在にコントロールするストラテジーを精査する予定である。
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