研究課題/領域番号 |
23K17983
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
橋本 拓哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10783714)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腸内細菌 / トリメチルアミン / 嫌気性微生物 / ATP / トリメチルアミン-N-オキシド |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの心疾患リスクと血中のトリメチルアミン-N-オキシド (TMAO) 濃度との間には強い相関関係があることが知られている。実際に、TMAOの蓄積は動脈硬化など、心疾患に直接関与する生理的反応に強く関わっていることが明らかにされてきた。TMAOは血中のトリメチルアミン (TMA) が肝臓に運ばれ、肝臓の酸化酵素の働きで産生される。血中のTMAは腸内細菌の産生には腸内細菌の代謝が関与することがわかりつつある。本研究では、腸内細菌の持つエネルギー産生経路と共役した特定のTMA産生経路に着目し、代謝経路の実態およびTMA産生への寄与を、微生物学、生化学的に明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
ヒトの心疾患リスクと血中のトリメチルアミン-N-オキシド (TMAO) 濃度との間には強い相関関係があることが知られている。実際に、TMAOの蓄積は動脈硬化など、心疾患に直接関与する生理的反応に強く関わっていることが明らかにされてきた。TMAOは血中のトリメチルアミン (TMA)が肝臓に運ばれ、肝臓の酸化酵素の働きで産生される。血中のTMAは腸内細菌の産生には腸内細菌の代謝が関与することがわかりつつある。本研究では、腸内細菌が持つトリメチルアミンおよびエネルギー獲得に関与しうる経路である、ベタイン還元経路に着目し、そのTMA産生への寄与を評価する。 まず、親水性化合物であるTMAの評価系を検討した。適切な化学修飾を行うことによって、LC/MSを用いて高感度かつ十分なダイナミックレンジで目的化合物を分析できた。 次にTMA産生菌株の探索と絞り込みを試みた。当初、公開ゲノムのアノテーションツール AnnoTree(http://annotree.uwaterloo.ca/annotree/)を用いて、いくつかの候補株を購入し培養を試みた。しかし配列を詳細に解析した結果、AnnoTreeでベタイン還元酵素とアノテーションされている遺伝子配列のほとんどは、実験的に同定されたベタイン還元酵素遺伝子配列と異なる機能を示すことが示唆された。そこで、新たにBLAST検索によって得た5000の相同遺伝子を用いて、in-houseでの大規模な系統樹解析により再クラスタリングを行った。詳細な解析を行い、ヒト糞便由来のTMAを産生すると考えられる、複数の菌株候補を絞り込んだ。今後、これらの候補菌株を培養し、確立した評価手法を利用して実験的にTMA産生を定量する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はマウス糞便からの菌株探索を行い、単離菌株を同定する予定であった。しかし、情報解析およびデータベース探索の結果から、目的遺伝子を保持するヒト糞便由来菌株が購入可能なことを見出した。本研究の目的は、ヒトにおける心疾患リスク因子産生能の評価にあるので、ヒト糞便由来の単離株の評価の優先順位を上げ、計画していたマウス糞便由来の菌株探索作業の優先順位を一度下げて研究を進めることにした。今後はまず複数の単離株を用いたTMA産生について評価する。また、代謝産物の評価系の構築は問題なく確立できたため、概ね順調に進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
購入した複数の単離株を用いた培養実験によって、TMAを確実に産生するような培養条件を確立する。確立した培養条件で、関連遺伝子の発現解析を検討する。また、確立した培養条件を基にベタイン産生能が高い腸内細菌を糞便サンプルから探索する。得られた単離株の中からTMA産生能の高い菌株を見出し、その菌株の持つベタイン還元経路の酵素遺伝子について、組換え酵素の発現を検討する。
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