研究課題/領域番号 |
23K18010
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
瀬戸 義哉 明治大学, 農学部, 専任准教授 (40620282)
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研究分担者 |
佐藤 修正 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70370921)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 根寄生植物 / ヤセウツボ / 二次代謝産物 / 根寄生雑草 / フェニルエタノイド配糖体 / 土壌菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
根寄生雑草は、アフリカ等の地域において甚大な農業被害をもたらしている。国内では被害の報告はほとんどないものの、ヤセウツボと呼ばれる寄生雑草が多くの地域で生育している。本研究では、これまで寄生者として認識されてきた根寄生雑草が宿主にとって何かしら生の作用を有するのではないかという仮説のもと、特に根寄生雑草が生産する二次代謝産物の効果を中心とした解析に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では、国内でも自生している根寄生植物の一種であるヤセウツボを一つのモデルに、根寄生植物が生産する代謝物が宿主植物に対して何かしら正の作用を有する可能性を検証している。予備データとして、根寄生植物由来の二次代謝産物は、ミヤコグサとミヤコグサ根粒菌間の共生に対して促進的に作用するという結果を得ていた。本年度は、この結果について再現性の確認を行い。やはり共生を促進する傾向にあることが示された。また、フィールドにおいて、ヤセウツボが生育している場所において、実際にヤセウツボが見られる周辺土壌と、ヤセウツボが存在しない対照区の土壌をサンプリングし、菌叢解析を行った。その結果、ヤセウツボが存在することで少なからず土壌菌叢が変化していることを示唆する結果が得られている。本実験は、実験室内で、市販の土壌を利用した実験でも行っており、同様の傾向が見られている。さらに、ヤセウツボをライゾトロン法で生育させた後に、一定時間水耕栽培で生育させて水耕液を分析したところ、上記の二次代謝産物が検出されたことから、本二次代謝産物については、土壌中にも分泌されていることが示唆された。また、本二次代謝産物は予想以上に植物体内での蓄積量が多く、ヤセウツボの種子サンプルからも検出することが出来ている。よって、今後は、ヤセウツボの発芽に対して本二次代謝産物が及ぼす影響についても検討する必要がある。また、ヤセウツボが異なる宿主に寄生した際の代謝物解析等も行い、代謝物という視点から、ヤセウツボが寄生した際の宿への影響を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、主にヤセウツボが土壌菌叢に与える影響について研究を進めた。これに関してはフィールドでサンプリングした土壌に加え、実験室内で市販の土壌を用いて栽培した際の土壌の解析も行っており、いずれの場合でも、根寄生植物の存在により土壌菌叢が変化する傾向が見られている。また、ヤセウツボが生産する一種の二次代謝産物が根から分泌されるか否かについて分析を行い、対象の二次代謝産物を水耕液からも検出することができた。 また、ヤセウツボが宿主に寄生した際の代謝物の変動に関しては、解析が遅れており、次年度に実施することを予定している。 菌叢解析が順調に進んでいる一方で、それ以外の研究がやや遅れ気味ではあるが、全体としては着実に進められていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
解析が遅れている代謝物の分析を進めていく。また、ヤセウツボ代謝物が、種々の根粒菌に対して作用するか否かについては、現在ヤセウツボの宿主である赤クローバーとその根粒菌を用いた実験を計画している。 土壌菌叢解析については、フィールドでの土壌サンプルについて再現性を確認することに加え、市販土壌にフィールドでサンプリングした土壌由来の菌叢を添加する実験や、さらにそこにヤセウツボ由来二次代謝産物を添加する実験などを計画しており、代謝産物が直接影響を及ぼす可能性についても詳細な検討を行う。
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