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単独の栽培品種から細胞質雄性不稔系統・維持系統・回復系統をセットで生み出す新技術

研究課題

研究課題/領域番号 23K18016
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分39:生産環境農学およびその関連分野
研究機関東北大学

研究代表者

鳥山 欽哉  東北大学, 農学研究科, 教授 (20183882)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード育種学 / 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 植物 / イネ
研究開始時の研究の概要

一代雑種品種を育種するために必要な以下の3系統(A, B, C)を単独の栽培品種から作出するシステムを開発する。A: 細胞質雄性不稔系統(CMS系統):核遺伝子である稔性回復遺伝子(Rf 遺伝子)をゲノム編集技術CRISPR-Cas9を用いて破壊することによって作出する。B: 維持系統:ミトコンドリアのCMS原因遺伝子候補orf288をゲノム編集技術Mito-TALENを用いて破壊し、かつ、Rf 遺伝子をCRISPR-Cas9を用いて破壊することにより作出する。C: 稔性回復系統:普通の日本型栽培イネ台中65号をそのまま利用する。

研究実績の概要

本研究では標準的な単独の「栽培品種」から、価値の高い「細胞質雄性不稔系統(CMS系統)」、及び「維持系統」と「回復系統」をセットで生み出す新システムを、ゲノム編集を駆使して開発することを目的とした。
本研究の作業仮説は、「日本型のイネ栽培品種は、潜在的CMS原因遺伝子(orf288)をミトコンドリアゲノムに隠し持っているが、普段は 核のRf遺伝子(PPR遺伝子:配列特異的RNA結合タンパク質をコードする)の制御を受けて顕在化しない。Rf遺伝子を取り除くと 潜在的CMS原因遺伝子が発現し、CMSとなる)」である。
「CMS系統」を作出する目的で、栽培品種 「台中65号」に存在するRf-like PPR遺伝子を3個ノックアウトした個体を作出したところ、orf288の発現を誘導することができた。3個のPPR遺伝子変異が全てホモ型のものを選抜して結実率を調査したが、雄性不稔性は示さなかった。CMSにするには、追加で別のPPR遺伝子もノックアウトする必要があると考えられた。
「維持系統」を作出する目的で、orf288をミトコンドリアゲノム編集技術mitoTALENを用いてノックアウトした個体を作出した。Orf288を欠失させても 植物体の生育や結実率に悪影響は見られなかった。ヌルセグリガントを選抜して、次に、CRISPR-Cas9を用いて核のPPR遺伝子を3個同時に破壊した個体を作出した。植物体の生育や結実率に悪影響は見られなかった。維持系統を作出する下地が完成した。
回復系統は、元の栽培品種がそのまま使える予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PPR遺伝子をノックアウトして、CMS系統を作出できる予定であったが、まだ、CMS系統を作出できていない。しかし、ミトコンドリアゲノムに存在するorf288、および、核に存在するPPR遺伝子を3種類同時にノックアウトした個体のホモ型変異ヌルセグリガントを選抜したので、概ね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

雄性不稔性(CMS)にするには、追加で別のPPR遺伝子もノックアウトする必要があると考えられた。候補となる別のPPR遺伝子が2個存在するので、これらをターゲットとしたCRISPR-Cas9ベクターを構築し、PPR遺伝子を3種類同時にノックアウトした個体のホモ型変異ヌルセグリガントに対して遺伝子導入する。ノックアウト変異がホモ型となったヌルセグリガントを選抜して雄性不稔性を示せば、仮説通りCMS系統を生み出す新システムが確立できたこととなる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] The mitochondrial and plastid genomes of <i>Oryza sativa</i> L. cv. Taichung 652023

    • 著者名/発表者名
      Ichida Hiroyuki、Kazama Tomohiko、Arimura Shin-ichi、Toriyama Kinya
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 40 号: 1 ページ: 109-112

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.22.1213a

    • ISSN
      1342-4580, 1347-6114
    • 年月日
      2023-03-25
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 台中65号の細胞質を持つOryza glaberrimaの細胞質雄性不稔性原因遺伝子はorf288である2024

    • 著者名/発表者名
      五十嵐圭介, 岩井裕子, 高塚歩, 風間智彦, 有村慎一, 鳥山 欽哉
    • 学会等名
      日本育種学会第145回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本晴のミトコンドリア遺伝子orf288は核をO.glaberrimaに置換すると発現する2023

    • 著者名/発表者名
      五十嵐圭介,岩井裕子,古田智敬,鳥山欽哉
    • 学会等名
      イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Analysis of genes related to cytoplasmic male sterility Oryza graberrima with a cytoplasm of japonica rice2023

    • 著者名/発表者名
      Igarashi K, Takeda S, Iwai Y, Toriyama K
    • 学会等名
      6th Plants and People Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Molecular analysis of cytoplasmic male sterile in O.glaberrima2023

    • 著者名/発表者名
      Igarashi K, Takeda S, Iwai Y, Toriyama K
    • 学会等名
      6th International Rice Congress 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [産業財産権] 細胞質雄性不稔系統と維持系統の作出方法2024

    • 発明者名
      鳥山欽哉・五十嵐圭介・岩井裕子・武田信哉・高塚歩・風間智彦
    • 権利者名
      鳥山欽哉・五十嵐圭介・岩井裕子・武田信哉・高塚歩・風間智彦
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 外国

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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