研究課題/領域番号 |
23K18022
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60204690)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | アザミウマ / 花生態学 / 動植物間相互作用 / 生態学的種間関係 / 超マクロ映像記録 / 開花生態 / 相利共生 / 送粉 |
研究開始時の研究の概要 |
なぜか,農業害虫として有名な微小昆虫アザミウマ類が,多くの野生植物種の花内に高頻度で生息している。■実際,多種多様な植物の花をアルコール液浸標本として保存していると,サンプル管瓶の底には必ずと言っていいほど,アザミウマ類の死体が数多く沈殿する。■例えばキク科ノアザミの一つの頭花内には,多いときで80個体以上のアザミウマ類(一齢幼虫から成虫まで,しばしば数種同居)が生息する。■なぜ,害虫アザミウマ類が,非常に脆弱な花内に生息しているのだろうか?■その疑問に答えるため,花内でのアザミウマ類の生態を詳細に観察し,動植物間の相利共生現象としての可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,【花とアザミウマの未知の生態的相互作用を,送粉生態学の枠組みを超えて解明し,開花から結実の過程をメインテナンスしているかも知れないアザミウマ類の生態を探り,生物農薬としての新たな可能性をも検討すること】である。この目的に対しての,研究実施計画として,初年度と第2年度において,【アザミウマ花内生息普遍性の探索とアザミウマ種同定による植物昆虫の種特異性の検討】と,【アザミウマのノアザミ頭花内での生活史を探る】の2点を掲げ,事実,本R5年度は,これらの検討と探索を並行して実施してきた。
当初の計画では,アザミウマの行動や形態を詳細に観察するために,本研究予算の一部を,高性能の実体顕微鏡の購入にあてる予定であったが,その予算を,最新の高性能デジタルカメラとレンズの購入に充てた。この理由は,研究を始めて見ると,野外からのサンプルを,室内実体顕微鏡で観察していたのでは,自然界でのアザミウマの行動,特に花内での自然な行動を見ることができないと確認でき,実体顕微鏡の限界性に早い段階で気づいたからだ。そこで,最新のデジタルカメラと高性能マクロレンズの組み合わせを検討した。すると野外において,1mm前後のアザミウマの行動をみごとに観察出来ることが判明した。超解像の静止画と,4K動画がマクロで撮影記録でき,この研究の目的にそった結果を得られる装備が整ってきた。
得られつつある成果は,以下のインターネットサイトに公開予定であり,このサイトを利用して,他の研究者たちと観察結果の検討をおこないつつ,有意義な研究議論を構築していく予定である。 https://sites.google.com/view/thrips-in-flowers/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,予想していなかった,野外における微細昆虫であるアザミウマの行動の把握の難しさを,最新のデジタルカメラセットによって克服してきた。そのおかげで,花の中でのアザミウマの行動が記録出来始めた。
アザミウマの花内行動は,実は,非常に高速で,裸眼(肉眼)では,その速さに対応出来ない。つまり,1mm前後の微細昆虫であり,その昆虫が花内で高速で移動するので,彼ら彼女らが花内で何をしてるかは,肉眼ではまったく観察出来ない。実のところ,研究開始当初,本腰をいれた野外観察でも,手も足も出なかった。これは,花の液浸標本から落ちてくるアザミウマを観察して,本研究のアイディアを得た私として非常に新鮮な発見であった。
このような高速で行動する微細昆虫の野外観察には,現状ではOM SystemのOM-1カメラボディに,同社のマクロレンズM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROと,M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20を組み合わせて対応している。このセットは,挑戦的な萌芽研究ならではの,全く新しい野外マクロ観察と映像記録を可能としていると理解出来る。
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今後の研究の推進方策 |
とにかく,観察対象が,高速で移動する微細昆虫であるアザミウマである困難を克服して,野外観察,つまり野生の生態を明らかにしていく研究を継続していく。アザミウマは体長1mm程であるが,現在の観察システムで,横からの観察,4K動画記録も可能になってきている。したがって,花の表面を高速で移動するアザミウマの頭部下部の口器部分の動きや,花弁などの表細胞へのダメージなども,観察記録したい。現状では,口器が植物細胞に突き刺さっている状態は観察出来ておらず,さらなる観察活動が求められている。さらに,アザミウマは典型的な農業害虫であるので,作物に害をあたえる口器の動きなども記録して,花の中の行動と作物表面での害虫としての行動とを,相互比較していく予定である。とにかく,粘り強く,観察記録を継続したい。
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