研究課題/領域番号 |
23K18026
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大出 高弘 京都大学, 農学研究科, 助教 (60742111)
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研究分担者 |
大門 高明 京都大学, 農学研究科, 教授 (70451846)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 変態 / 幼若ホルモン / 成長期 / 体サイズ / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
地球上には大小様々な動物が存在するが、種特有の体サイズを遺伝的に規定する仕組みの理解は進んでいない。脱皮と変態により成長期から生殖期への移行が明確に区別できる昆虫では、成長終結に関わるホルモンについて知見が蓄積されてきた。本研究では、これらの知見を基盤として、さらにゲノム編集やオミクス解析といった先端技術を駆使することで、成長終結に関わるホルモン濃度が変動する仕組みを解明する。その上で、人為的に成長終結タイミングを操作し、巨大化した昆虫系統を作出することで、体サイズの持つ生物学的意義の理解に向けた新たな学術的アプローチの開拓に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、昆虫の成虫体サイズを決定する成長終結機構を解明・制御して、極限まで巨大化させた昆虫を創出することである。昆虫における成長終結はアラタ体という器官で合成・分泌される幼若ホルモンにより支配される。本研究では、マルチオミクス解析やゲノム編集といった新しい技術を総動員することで、長年の謎である昆虫の終齢幼虫における血中幼若ホルモン濃度の低下機構を解明することを目指している。今年度は、飼育や採卵が容易なため、本研究で利用するオミクス解析やゲノム編集の手法が適用しやすい不完全変態昆虫であるフタホシコオロギをモデルとして、幼虫から成虫への移行制御機構の理解を進めた。詳細な遺伝子発現や機能解析の結果、フタホシコオロギでBTB-ZFファミリーという特定のグループの転写因子群が、幼虫期を維持して成虫変態を抑制する機能を有することが明らかとなった。興味深いことに、複数のBTB-ZF転写因子が、蛹変態のタイミング制御において中心的な役割を果たすことが、近年のショウジョウバエやコクヌストモドキなどの完全変態昆虫を用いた研究から明らかとなっている。完全変態・不完全変態昆虫に共通したBTB-ZF転写因子の変態タイミング制御機能は、この転写因子ファミリーの、昆虫の系統で進化的に保存された役割を反映していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究で用いるRNA-seqやATAC-seq、レポーターアッセイ法による遺伝子発現制御配列の機能解析といった技術が、申請者らによって既に確立済みであるフタホシコオロギをモデルとすることを検討したが、幼若ホルモンの生合成器官であるアラタ体の組織サンプルの収集が、幼若ホルモンの合成停止後には非常に困難であることが明らかとなった。この検討に時間を費やしたため、初年度に行う計画であったアラタ体細胞を用いたオミクスデータの収集に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
幼若ホルモンの合成停止後にもアラタ体の収集が可能なカイコをモデルとして、オミクスデータの収集を行う。幼若ホルモン合成停止前後のカイコアラタ体のRNA-seqやATAC-seqデータに基づいて、幼若ホルモン合成停止を制御する遺伝子群の候補を特定する。
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