研究課題/領域番号 |
23K18037
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
杉本 貴史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (20726707)
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研究分担者 |
渡邊 和代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (80835116)
小林 功 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (70442829)
渡部 賢司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (80414960)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アズキノメイガ / ボルバキア / 共生細菌 / 培養細胞 / 遺伝的オスのメス化 / オス殺し / 遺伝子機能解析 |
研究開始時の研究の概要 |
初年度の取り組みとしては、培養細胞を使って増殖させた共生細菌を、宿主に戻して再感染させる手法の確認と、培養細胞を用いた共生細菌の遺伝子機能解析手法の構築を主に進める。遺伝子機能解析については、チョウ目昆虫ではRNAiが効きにくいため、RNAi 効率化培養細胞の作出に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、昆虫に感染する共生細菌が有する機能について、培養細胞を利用して解析する系を確立することを目的とする。2023年度は、当初研究計画に従い、主に研究基盤構築を推し進めた。① アズキノメイガにおいて、通常系統の雌雄に加え、共生細菌解析を目的としたボルバキア感染メス、そして、共生細菌の感染に起因しないメス化因子を保有するメス、それぞれから培養細胞の作成を試みた。いずれの検体においても、初代培養の段階においては、多くの検体において順調な増殖が観察されており、細胞株の樹立に向けて順調に推移している。② 培養細胞株を用いたボルバキアの導入・再感染試験については、アズキノメイガ感染ボルバキアを用いた解析に加え、異なる宿主由来のボルバキアを用いた解析についても研究計画を前倒しする形で行なった。その結果、特筆すべき成果として、そのひとつにおいて、オリジナル宿主ではメス化を誘導しないものが、アズキノメイガ培養細胞においてメス化を行っていることを明らかにした。③ 培養細胞で増殖させたボルバキアのアズキノメイガ卵への移植実験については、移植当世代では感染の確立に成功した一方で、次世代への伝達が確認された個体がゼロであった。これは、次世代へのボルバキア伝達手法の確立が新規課題として重要になると考えら得る結果と位置付けられ、想定外のボトルネックではあるが、新規研究対象として重要なテーマと考えている。④ 培養細胞を用いた遺伝子機能解析については、RNAiに用いるdsRNAの作成手法やノックダウンの対象をなる遺伝子候補の絞り込みなどを進めており、次年度の早い段階における実験開始に向けた準備は順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規培養細胞作成については、当初の予定よりも多くの培養細胞株の作成を進めており、経過も順調であることから、今後の研究推進においてポジティブな影響が想定される。また、培養細胞を用いた共生細菌操作についても、一部、前倒しで研究計画を遂行し、新しい知見が得られるなど、順調な滑り出しとなっている。一方、培養細胞にて増殖させたボルバキアの再感染実験において、移植当世代において感染が確立しても、次世代への伝達が起こらなかった点は当初想定とは異なる結果であった。この点で、今後、当初の研究計画の一部に変更や遅れが生じるリスクが見込まれるが、2023年度計画の範囲内においては、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、培養細胞を用いて、共生細菌と宿主細胞の相互作用を解析するための機能解析系の確立を推し進める。具体的には、培養細胞における遺伝子強制発現系の作成や、RNAiによる遺伝子ノックダウンを通じて、共生細菌による生殖操作強度や、菌密度などの影響を見積もる実験系の確立に向けた試行を行う。また、新規に確立した培養細胞株を用いて、ボルバキアの感染操作実験を異種間で行い、宿主とボルバキアの相互作用について解析を進め、大規模遺伝子解析に向けた基盤を構築する。
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