研究課題/領域番号 |
23K18045
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
梶田 真也 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40323753)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | リグニン / 遺伝子組換え |
研究開始時の研究の概要 |
リグニンの生合成に関与する遺伝子の発現を操作することで、木材中のリグニンの含有量の低減や分子構造の改変が可能である。このようなリグニン改変木材では、多糖とリグニンの分離が容易になるため、木材をより効率的に利用することができる。しかし、リグニン改変木材を産生する遺伝子組換え樹木の大半で、Lignin Modification-Induced Dwarfism (LMID)と呼ばれる生育遅延が見られる。本研究ではLMIDを呈する遺伝子組換えポプラを材料として、異なる系統間で共通して顕著な発現変動を示す特定の遺伝子を見つけ出し、当該遺伝子の人為的な発現制御を介してLMIDを回避する方策の端緒を開く。
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研究実績の概要 |
独自に作出したリグニンの生合成を変調する遺伝子組換えポプラを複数系統用いて、RNAseqによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。全RNAの回収に使用した組換えポプラは、寒天培地上で試験管内挿し木により株分けした後、閉鎖系温室に移して約2ヵ月間生育 Gさせた。バクテリアに由来する2つの遺伝子とシロイヌナズナに由来する1つの遺伝子を過剰発現させた遺伝子組換えポプラ(Populus tremula × P. tremuloides clone T89株)は、個々に程度の差はあるものの、対照となる非遺伝子組換えポプラと比較して明らかな生育阻害を示した。培養室で栽培した個体でも同様の傾向が見られたことから、これらはリグニンの量や分子構造の変化に生育遅延が再現したものと結論した。一方、他のシロイヌナズナの遺伝子を過剰発現したポプラ(P. tremula ×P. alba, IRNA 717-1B4株)の場合には、リグニンの分子構造に大きな変化が見られたものの、リグニン含有量は対照個体と差異がなく、また生育阻害も見られなかった。以上のとおり、4つの遺伝子を過剰発現させた組換えポプラと、各々の対照個体となる非遺伝子組換えポプラを同一条件で栽培し、それらの茎部から全RNAを回収し、次世代シーケンサーを用いたRNAseqに供した。生育阻害が見られた前3者は野生型T89株のゲノムを対照に、生育阻害のなかった他の1つは野生型717-1B4株のゲノムを対照にマッピングを行った。得られた遺伝子発現情報を元に主成分分析を行ったところ、前3者は第一主成分と第二主成分の片方、または両方で野生型と大きな差異が見られた一方、生育遅延のなかった組換えポプラの遺伝子発現パターンは、野生型との間で明確な差異が認められなかった。現在、どのような種類の遺伝子の発現に違いがあるのかをGO解析などにより進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の大きな目的であったRNAseqを実施し、遺伝子発現解析に目途がついたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
得られた遺伝子発現情報を詳細に解析し、生育阻害と相関のある遺伝子、あるいは遺伝子群を特定すると共に、リグニン代謝経路上にある化合物を中心に網羅的な代謝物解析を実施する。
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