研究課題/領域番号 |
23K18048
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 泰彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60415932)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 遺伝子覚醒 / DNAメチル化 / エピゲノム編集 / 成長速度 / ミジンコ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、世界の漁業・養殖業生産量のおよそ10%を占める甲殻類に属し、分子生物学的解析が進展しているミジンコをモデルとしてDNAの脱メチル化により眠っている遺伝子を覚醒させて成長速度を上げることが可能か検証する。本研究により、遺伝子配列が変化した生物の生命倫理の問題や安全性への消費者の不安を払拭した新たな品質改良の方法を創出する。
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研究実績の概要 |
甲殻類の中でもオオミジンコはゲノム編集をはじめとした分子生物学的実験手法が最も確立されている種であり、甲殻類の分子育種のモデルとなる。商業的に価値が高い水棲生物の分子育種においては、ゲノム編集を利用した手法が用いられてきたが、遺伝子配列が変化した生物の生命倫理の問題や安全性の懸念は残されたままである。そこで、本研究ではDNAメチル化の操作を行うことによって、遺伝子配列を変えずに遺伝子活性を制御する手法を開発することを目的とした。DNAメチル化に着目した理由としては、代表者らが作出した de novo DNAメチル化酵素 DNMT3 のオーソログである DNMT3.1の変異体において、エネルギー分配が繁殖から成長にシフトしたことによるものである。一方で、ミジンコが有するもう一つのオーソログ DNMT3.2 の変異体の表現型は不明である。そこで、ゲノム編集によって DNMT3.2 変異体の作出を試みた。DNMT3.2 に特異的に結合する gRNA を設計し、in vitro アッセイにより gRNA の活性を確認後、gRNA を Cas9 タンパク質とともにオオミジンコの卵に注入した。その結果、両アレルにフレームシフト変異を有する変異系統を作出することに成功した。一方で、DNMT3.1が制御する遺伝子を探索するために、野生型と DNMT3.1 変異体における DNA メチル化領域を比較する実験を開始した。野生型およびDNMT3.1変異体を栄養豊富な条件、飢餓条件でそれぞれ飼育し、ゲノムDNAを調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オオミジンコゲノムのDNAメチル化の制御機構を解析する上で必須であるDNMT3.2変異体の作出に成功し、一方でDNMT3.1変異体のDNAメチル化解析に供するゲノムDNAの調製を終えたため。
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノムバイサルファイトシーケンシングにより野生型と DNMT3.1 変異体ゲノムの DNA メチル化状態の比較を行う。DNMAT3.1 依存的にプロモーターがDNAメチル化される遺伝子群と、研究代表者らが以前に明らかにした DNMT3.1 変異体において覚醒する遺伝子群を比較し、DNMT3.1 によりプロモーター領域が DNA メチル化されることで不活性化される遺伝子をリストアップする。さらにこれらの遺伝子に対して CRISPR-Cas9 を用いた変異導入による機能解析を、成長にエネルギーが投資されている DNMT3.1 変異体で行い、ノックアウトで成長阻害が起きるか否かを指標として成長促進遺伝子を同定する。DNMT3.2 ついては、変異体の表現型、遺伝子発現解析を行う。一連の解析から成長や繁殖等の制御を行なっていることが明らかとなった場合には、DNMT3.1 と同様に変異体の DNA メチル化状態の解析を行う。
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