研究課題/領域番号 |
23K18065
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宮本 英揮 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10423584)
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研究分担者 |
中村 真也 琉球大学, 農学部, 教授 (30336359)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 土壌水分 / センサネットワーク / LTE-M / 三軸加速度 / ビッグデータ / 土砂災害 / 土壌水分量 / 加速度 |
研究開始時の研究の概要 |
「どうすれば,土砂災害から命を守ることが出来るのか?」という社会の問いに対して,我々はいまだに答えを見出していない。その理由は,的中率4%という不確実性の高い土砂災害警戒情報に頼らざるを得ない技術水準にあったからである。本課題では,現行の土砂災害警戒情報に代表される“降水量を中心とした気象観測”から,先端IoT技術と地中センシング技術を応用することによって“発生源となる地中”へ観測事象転換を図ることにより,ステルス型の突発的土砂災害から命を守る行動をとることができる,リアルタイム危険度診断機能を実装したセンサネットワークシステムの開発と実証に挑む。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,「自律分散型センサネットワークシステムの開発」を目的として,次の①~③について検討した。 ①多機能地中埋設センサの開発: 乾燥状態を判別するための従来の農業用土壌センサは,雨天時の高水分条件に通用しないうえに,地中の土壌構造に関する情報を測る機能を持たない。そこで,地中の亀裂・選択流の検知のための誘電率および地下水温等の同時計測機能と,土塊の位置・角度の変化を測るための3軸加速度計測機能を備えた高水分用地中埋設センサを,協力企業と共同で開発した。 ② LTE-M型省電力センサネットワークの開発: これまでに代表者・宮本が手掛けた4G・5G用統合型IoTプラットフォームの場合,ゲートウェイ端末(親機)に分散配置した子機による全データを集約してクラウドにアップロードする方式を採用していた。しかし,電波を遮る障害物が多い山林では,通信障害が多発すること,そして電源の確保が難しいこと等を考慮して,電波干渉の影響が小さく,大容量データ通信に適した,LTE-M型の省電力センサネットワークを新たに構築した。 ③ LTE-M型省電力センサネットワークの野外実証試験: 多機能センサを実装したLTE-M型センサネットワークを山林内で試験的に運用し,長期運用する場合の課題,とりわけ,通信・電源に関する課題を抽出し,センサネットワークの機能強化をはかった。その結果,1日に1時間以上の日照がある場所であれば,長期の安定稼働が期待できる技術水準に到達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した令和5年度の目標を,年度末までにすべて達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度「異常検知・危険度診断技術の開発」: 自治体・自治会・土地所有者等の協力のもと,土砂災害の発生が危惧される佐賀県の佐賀市X地区,唐津市Y地区,鳥栖市Z地区の斜面に,気象センサ一式および地中埋設センサ(3深度/点)を実装した独立稼働型端末を分散配置し,斜面データの収集に着手する。気象データを含む全点収集データを分析し,データの変化パターンの類型化や異常検知アルゴリズムの開発等に着手する。 令和7年度「アラートシステムの開発・実証」: 新たに収集されるデータを利用して,前年度に構築した異常検知アルゴリズムの精度を評価する。また,センサネットワークを設置した斜面単位(または集落・地域単位)で,がけ崩れの兆候やその危険度等をリアルタイムで閲覧できるWebシステムを構築する。そして,各地区の住民および災害対応機関と共同で,両システムの利用体験の場を設け,より実用的なアラートシステムの構築を目指す。
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