研究課題/領域番号 |
23K18066
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
渋谷 俊夫 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 教授 (50316014)
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研究分担者 |
大山 克己 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (20456081)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 温室 / 物質収支 / 水利用戦略 / バイオミメティックス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,気孔が水利用効率を最適化する生態的な戦略に着目し,その仕組みを温室の換気制御に取り入れることで施設園芸における水利用効率の最適化を試みる.具体的には,系内におけるCO2吸収速度および蒸散速度をモニタリングしながら,それらによって生じるベネフィットとコストの差が最適になるように換気量を動的に制御することで,水利用効率の最適化を試みる.その動作特性から,本課題で提案する換気システムが水利用効率の効率化に寄与できるかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
気孔の環境応答機構に関する基礎知見を得るために,異なる湿度環境で育成したキュウリ葉のガス交換特性を,光合成蒸散測定システムを用いて計測した.光合成測定装置内のCO2濃度を変化させて,CO2濃度に対する純光合成速度,蒸散速度,気孔コンダクタンスの変化を測定した結果,キュウリ葉は低湿度環境下で気孔コンダクタンスを低下させるが,気孔コンダクタンスの低下による葉内CO2濃度の低下は,CO2固定速度が大きく低下しない範囲であった.したがって,本実験条件においては,低湿度下において植物が水損失を抑制するために気孔コンダクタンスを低下させたことは,CO2固定速度をほとんど低下させなかった.他方,葉の形態的特性を調べた結果,湿度の低下によって葉の厚さや葉脈構造の発達をもたらす構造的なコストは増大していることが推察された.これらの構造的なコストの増大は葉の通水コンダクタンスの増大に寄与していた可能性がある.したがって,低湿度環境下において気孔コンダクタンスがCO2固定速度を過度に低下させず,水利用効率を向上させた要因として,構造的コストを考慮する必要があるかもしれない.次に,気孔を模した換気システムのプロトタイプを作製し,換気を調節しながら植物の育成を行った.換気を制限することによって閉鎖空間内のCO2濃度は低下し,相対湿度は増大した.その結果として,植物の成長速度は小さくなり,量的な成長が抑制されるとともに,単位葉面積あたりの光合成能力が小さくなるなど,植物の品質が低下した.したがって,換気制限によって低下するベネフィットとして,植物の量的および質的な要素を両方とも考慮する必要があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気孔を模した換気制御を考えるための基礎データとして,周辺大気環境が植物のガス交換特性に及ぼす影響を調べ,植物の構造的コストを含めた複雑さを定量的に明らかにできた.2024年度は,ガス交換特性の計測と換気制御装置のプロトタイプの試験に時間がかかり,換気システムの動的制御を用いた試験を実施できなかったが,研究の基本方針を確認できたことから,進捗状況はおおむね順調であると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に得られた知見にもとづいて,気孔を模した換気システムを備えた小型温室を作製する.計測されたCO2吸収速度と蒸散速度からそれらによって生じるベネフィットとコストの差を算定し,それが設定範囲になるように換気量を動的に制御するシステムを構築する.動作結果にもとづいて,目標値や制御に必要な各種パラメータの調整を行う.換気制限によって生じる植物の量的および質的な要素の変化については学術的に価値の高い知見が得られる可能性が高いことから引き続きより詳細な調査を行う.
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