研究課題/領域番号 |
23K18067
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
沖田 紀子 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 特命准教授 (80916213)
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研究分担者 |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 特任教授 (10151648)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 円偏光 / ユーグレナ / 微細藻類 / 葉緑体 / 光合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、島嶼地域あるいは生産力の限られる農村に対する新たな支援策の提供を目指すものである。その手法として、太陽光(直線)を円偏光に変換する仕組みを導入し、微細藻類をモデル対象物とした栽培において、光合成における円偏光効果の解明を目指す。 円偏光という特殊な光の刺激の応答として遺伝子発現が変化するのか、あるいは、その植物の持つ葉緑体の系統によって円偏光利用の特異性が異なるのかを見極め、円偏光を農業施設の光源とする応用基盤を確立し、地域農業の特異性強化に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
【実験1】NIESよりEuglena gracilis NIES-48株を購入し、これをモデル生物として用いて実験を行った。右円偏光フィルターおよび左円偏光フィルターに、LEDライトを照射することにより、フィルター透過光は、それぞれ右円偏光と左円偏光が得られるが、同時に、光量子束密度が減少するため、円偏光フィルターとは別に、ティッシュペーパーで遮光して円偏光フィルター透過光と同等の光量子束密度になるように調整したものをコントロールとして用意した。右円偏光フィルター透過光、左円偏光フィルター透過光、コントロールの3つの条件でユーグレナを培養し、その増殖量およびユーグレナの生産する特徴的な栄養素であるパラミロン量を測定した。その結果、右円偏光照射下で培養したユーグレナが若干、増殖量・パラミロン生産量ともに多いという結果が得られたが、結果のばらつきが大きく、測定方法の改善を検討中である。 【実験2】同じ場所から採取した海水と砂を3つの水槽に分け、海水を循環させながら、右円偏光照射、左円偏光照射、およびコントロールの3条件で約1年間放置した。その結果、右円偏光を照射した水槽には濃い緑の藻類が、左円偏光を照射した水槽には薄い茶色と薄い緑の藻類が、コントロールでは濃い茶色の藻類が、ぞれぞれ生育していた。これらの海水からゲノムを抽出し、葉緑体のpsbA遺伝子をターゲットにメタゲノム解析を行っている。 【今後の予定と展望】実験1の測定方法の改善策を模索するとともに、ユーグレナ以外の微細藻類でも試してみる予定である。また、実験2のメタゲノム解析の結果が出次第、右円偏光と左円偏光でどのような藻類が優占化しているのかを確認する。葉緑体の系統によって、右円偏光を好むのか、左円偏光を好むのかなどが明らかになれば、有価物を生産する微細藻類のより効率的な培養方法として円偏光の利用が提案できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル生物として今年度はユーグレナを用いたが、同じ条件で実験しても実験結果が非常にばらついてしまった。ユーグレナはエクスカベートと呼ばれるスーパーグループに属し、植物的な側面と、動物的な側面を持ち合わせているため、光以外の要因も大きく影響するのかもしれない。実験方法を再検討するとともに、2年目は緑藻に属するChlorellaなどを用いて実験をしてみようと思う。
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今後の研究の推進方策 |
・ユーグレナの実験方法の再検討し、再現性良く結果が得られる条件を検討する。まずは、凍結保存を作成し、同時期に作成した凍結保存株から実験を開始することで再現性が高まるのかを検証する予定である。また並行して、緑藻に属す別の微細藻類を用いて同様の実験を行う予定である。単離株において、左右の円偏光照射条件で再現性高く差が見い出せるようならば、RNA-Seqを行い、遺伝子の発現を調査する予定である。
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