研究課題/領域番号 |
23K18078
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 克彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20287486)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 精巣体細胞 / 生殖細胞 / セルトリ細胞 / 精巣 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、応募者がこれまでに開発した多能性幹細胞から卵巣組織を分化誘導する方法を基礎として、マウス多能性幹細胞から精巣機能を分化誘導できる培養系の開発を行う。具体的には、これまで開発した方法により雄のES細胞から両性生殖腺前駆細胞を分化誘導した後に、様々な雄性化シグナルを導入して精巣組織への分化を検討する。得られた精巣組織は生殖細胞と混合して精巣オルガノイドを構築して精細管と精子の形成について検討する。本研究により生殖腺の性分化を体外培養で再構築する方法を確立できれば、個体を用いた解析に依存する当該分野の学術体系を大きく転換できる。
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研究実績の概要 |
マウスES細胞を用いて、精巣体細胞への分化をモニターできるレポーターES細胞(Sox9-EGFP)を樹立した。これらの細胞を用いてマウスキメラを作成したところ、セルトリ細胞でSox9-EGFPの発現が確認されたことから、レポーター細胞として機能することが確認された。 次にこのレポーター細胞から研究代表者がこれまでに確立した培養方法により両性(Bipotential)前駆細胞を誘導したのちに、それらに対して雄性化を促進する繊維芽細胞成長因子(FGF)、骨形成因子(BMP)阻害剤、WNT阻害剤を投与して精巣体細胞への分化を誘導した。様々な培養条件の検討の結果、効率的にSox9-EGFP陽性細胞が分化誘導できる培養条件を決定した。この培養条件で分化誘導された細胞を用いて単一細胞遺伝子発現解析を行った結果、これらの分化細胞は胎仔の精巣体細胞とよく似た発現パターンおよび細胞集団の構成を示した。このことは決定された培養条件の中で、セルトリ細胞の分化のみならず、精巣を構成する間質細胞や筋様細胞なども分化誘導されていることを示唆していた。 さらに、分化誘導した精巣体細胞と同じくマウスES細胞から分化誘導した始原生殖細胞様細胞を混合して精巣オルガノイドを作製した。この精巣オルガノイドを培養した結果、精細管構造の形成や、その中での生殖細胞系列の分化が観察された。これらの結果から、本研究の目的としていた精巣体細胞の誘導と精巣オルガノイドの構築は一定の成果を得ることができた。現在は精巣オルガノイドの中で分化した生殖細胞の機能性を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レポーター細胞の樹立と機能的な検証、精巣体細胞の誘導、遺伝子発現解析などは計画通りの成果が得られており、残りの研究期間で生殖細胞の機能性を検証するのみとなっていることから、本計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本法により作製された精巣オルガノイドの組織学的解析を進めるとともに、遺伝子発現の詳細を解析する。具体的には、精細管構造の微細構造や間質の細胞構成などを免疫染色により解析する。また遺伝子発現に関しては、体外培養系での分化過程について時系列的な解析を行い、生体内の分化過程との類似性について検討する。これと同時に精巣オルガノイドから回収した各細胞系列の機能を検証する。精子細胞または精子(いずれも半数体の細胞)は顕微授精に供して発生能を解析する。セルトリ細胞およびライディッヒ細胞は、それぞれの細胞または機能を欠損するマウスの精巣に移植することにより、その機能を評価する。
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