研究課題/領域番号 |
23K18079
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木村 康二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50355070)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ウシ / 卵管 / 平滑筋細胞 / 収縮弛緩運動 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで収縮弛緩能を有するウシ卵管平滑筋細胞(bOVSMC)の体外培養系は確立されていない。まず第一に収縮弛緩能を有するbOVSMCの培養法を確立させる手法となる収縮マーカーを決定する。次にその指標マーカーを用いて収縮能を有するbOVSMC培養法の確立する。この確立された培養系をを用いて、低受胎要因として注目されている脂肪代謝産物、菌体リポ多糖がbOVSMCの収縮弛緩能に与える影響について検討し、低受胎要因と卵管機能不全との関係性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
細胞培養時にラミニン培養プレートコート処理や血清飢餓処理を行い、継代を繰り返した。この条件下で培養した卵管平滑筋細胞における収縮マーカー (Myosin Heavy Chain 11) の遺伝子発現は、対照区と比較して有意に増加した。しかし、収縮能を有している卵管平滑筋組織や単離時の卵管平滑筋細胞と比較すると収縮マーカー発現が十分に回復していないことや、継代を繰り返すことで収縮マーカー発現が低下してしまうことが判明したため、収縮能を有する卵管平滑筋細胞の培養には卵管独自の培養法が必要だと考えられた。そこで、卵管平滑筋細胞の培養法改善の手がかりを見つけるため、これまで完全に明らかとなっていない卵管平滑筋組織における収縮弛緩制御メカニズムを探索した。発情を引き起こすステロイドホルモンとして知られるエストラジオール-17β (E2) は、排卵直後の卵管において緊張度 (持続的な筋張力) を増加させた。これは、 E2 の膜上レセプターであるGPER1を介した RhoA/ Rho kinase (ROCK) シグナル伝達経路の活性化によることが示唆された。発情周期中で ROCK のタンパク質発現量が異なっており、E2 に感作させた排卵直後の卵管平滑筋では、他の発情ステージと比較してROCK 活性レベルが高いことが示された。また、ROCK の阻害タンパク質として知られている RND3 の発現は、E2 濃度の高い排卵直前において多いことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵管平滑筋細胞の収縮に関与している経路についてのデータはおおむね回収できたと思われる。これらに関わる因子の発現をマーカーとして利用出来る可能性がある。次年度はこれを利用して平滑筋細胞が収縮能を獲得する培養系の確立を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果から、収縮能を有する卵管平滑筋細胞培養には、卵管平滑筋組織の収縮を促進する E2 や RhoA/ROCK シグナル伝達経路の誘起剤、RND3 阻害剤などの添加が必要であると考えられたため、今後検討を進める予定である。加えて、卵管平滑筋細胞の収縮能の評価系としてオキシトシンを収縮誘起剤としたコラーゲンゲル収縮アッセイを行ってきたが、培養した卵管平滑筋細胞ではオキシトシンレセプター発現が減少してしまうことから、新たな収縮誘起剤の探索も行う。 培養系の確立は上記マーカーの発現を元にスクリーニングを行い、新たな収縮誘起剤を用いたコラーゲンゲルアッセイ系を確立し、低受胎因子が卵管平滑筋細胞の収縮能にどのように影響するかについて検討する。
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