研究課題/領域番号 |
23K18098
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
諸石 寿朗 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30647722)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 鉄 / レポーターマウス / 一細胞解析 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄は電子を容易に授受しやすい化学的特性から酸化還元反応の足場となり、広範な細胞機能に関わる酵素の補因子として働くため、地球上のほぼ全ての生物にとってその生存に必須である。一方、現在の研究手法では生体における鉄の動的変化を捉えきれないために、鉄動態と細胞・組織機能の連関については十分に解明されていない。本研究では生体の鉄感知システムを応用することにより、鉄動態を単一細胞レベルで可視化する手法を開発する。鉄代謝制御異常による鉄の欠乏や過剰は、ヒトにおいてがんや神経変性疾患など様々な病態に関連することから、本研究の遂行は近年拡大するこれらの鉄関連研究分野の発展にも貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
細胞内鉄量の調節に重要な役割を担うユビキチンリガーゼFBXL5は、鉄と直接結合することにより遊離鉄を感知し、細胞内鉄量に比例して安定化するという特徴がある。培養細胞を用いた実験において、FBXL5タンパク質の一部と蛍光タンパク質を融合した融合蛍光タンパク質を細胞に発現させたところ、この融合蛍光タンパク質は鉄濃度に応じてその存在量が変化することを見出した。そこで、次にこの融合タンパク質を発現するコンストラクトをRosa26遺伝子領域にノックインした鉄レポーターマウスの作出に取り組んだ。鉄レポーターマウスについては、細胞種特異的なCreトランスジェニックマウスとの交配により特定の細胞に鉄レポーターを発現するようなデザインとした。本年度はES細胞への標的コンストラクトの導入とキメラマウスの作出に取り組み、レポーターコンストラクトを発現するキメラマウスを得た。さらにキメラマウスを交配することにより、鉄レポーターコンストラクトを遺伝子に組み込んだ遺伝子改変マウスの樹立に成功した。さらに、作出した鉄レポーターマウスをAlb-Creマウスと交配し、肝臓特異的に鉄レポーターを発現するマウスを得た。得られたマウスを用いて、肝臓における鉄動態を一細胞レベルで確認したところ、同じ肝細胞でもその存在部位に応じて遊離鉄の量が異なることを見出した。 以上の研究成果をふまえ、生体組織における鉄動態の可視化に関する技術開発とその観察結果についての学会発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、前述の融合タンパク質を発現するコンストラクトをRosa26遺伝子領域にノックインした鉄レポーターマウスの作出に取り組んだ。遺伝子コンストラクトについては、融合タンパク質を発現させる領域の前方に転写を止める役割のあるpolyA配列をloxP組み換え配列で挟んで挿入することにより、細胞種特異的なCreトランスジェニックマウスとの交配でpolyA配列が除かれ、標的細胞特異的に鉄レポーターを発現させるデザインとした。本年度はES細胞への標的コンストラクトの導入とキメラマウスの作出に取り組み、レポーターコンストラクトを発現するキメラマウスの作出に成功した。さらに、キメラマウスを交配することにより、鉄レポーターコンストラクトを遺伝子に組み込んだ遺伝子改変マウスを得た。作出した鉄レポーターマウスを細胞種特異的なCreトランスジェニックマウス(Alb-CreマウスやTie2-Creマウスなど)と交配し、組織特異的に鉄レポーターを発現するマウスを得た。得られたマウスを用いて、組織における鉄動態を一細胞レベルで確認した。当初の計画では、令和5年度はES細胞への標的コンストラクトの導入とキメラマウスの作出、令和6年度は作出した鉄レポーターマウスを用いた鉄動態の観察、にそれぞれ取り組む予定としていたが、ES細胞の遺伝子操作やキメラマウスの作出が計画以上に早く進展し、令和6年度に予定していた生体組織における鉄動態の観察を一部前倒しで遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き作出した鉄レポーターマウスを用いて生体における鉄動態の観察に取り組む。過去の研究において、肝臓における鉄動態の変容が脂肪肝・肝線維化・肝がんなどの病態にそれぞれ関連することを既に見出しているため、特に肝臓における鉄動態に注目して観察を進める。鉄動態の異なる細胞種間での差異、同一細胞種間での不均一性、生老病死に伴う変容、などに注目して観察を行い、鉄動態と細胞機能の関連性や、病態におけるその変容を見出すことを一つの目標とする。さらに、得られた知見から仮説を立案し、鉄動態を変容させるマウスモデルを用いた検証実験へと発展させる。
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