研究課題/領域番号 |
23K18106
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 近 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70172210)
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研究分担者 |
金井 隆太 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (50598472)
西山 尚志 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30647011)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 反応中間体 / 立体障害 / 変異体 / 構造解析 / カルシウムポンプ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、筋小胞体カルシウムポンプのように、天然の中間体間では構造変化が大きすぎてそのメカニズムを簡単には理解できない系に対し、蛋白質に立体障害を導入する(「コブ」をはやす)ことによって構造変化を途中で止め、人工的反応中間体を創成する技術を開発する。コブの大きさを変えることによって多数の反応中間体の生成を可能にする一般的技術となり、今後の構造生物学に大きな変革をもたらす可能性がある
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研究実績の概要 |
Ca2+ポンプ作動機構の構造的解明の過程で阻害剤で止められる中間体の構造は全て決定し、能動輸送機構の大略は理解することができた。しかし、膜内に隔離したCa2+を内腔側に放出する過程、すなわちE1P.ADP.2Ca2+からE2Pに至る過程は、構造変化が大きすぎるためにそのメカニズムがよくわからなかった。そこで、その間に位置する人工的中間体を創出することを考え、立体障害の導入を試みた。立体障害としては側鎖レベルからへリックス、超二次構造まで多くの可能性があるが、まずは点変異体から始め、4つの変異体を設計し、長時間の分子動力学計算によって安定性を検討するとともに、実際に高等動物培養細胞にて大量生産し、蛋白質分解酵素を用いた部分分解によるfoldingの検討を行った。ツールとしてRosettaを採用し、テンプレートを用いてへリックスの導入も試みたが、期待通りの結果は得られなかった。また、数残基の挿入ではアルファフォールドのによる予測は無力であることも分かった。設計した4つの変異体はすべて大量生産し、そのうち2つについてはクライオ電顕による予備的検討を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
点変異体から始め、4残基挿入を二つの方法で挿入したものを大量生産、評価までできたので方法論を確立できた。順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
系を確立できたので、中間体の系統的な生成に向けて、挿入位置、挿入配列の最適化を試みるとともに、実際の構造決定に挑戦する。Ca2+ポンプの場合、これまでにNa+ポンプで成功してきた条件では、単量体から三量体(あるいはそれ以上)のゆるい複合体を作ることが判明し、クライオ電顕による立体構造決定には困難が予想される。クライオ電顕試料の条件検討には時間を要するかもしれない。
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