研究課題/領域番号 |
23K18121
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
原 英樹 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30456892)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 炎症応答 / 中心体 / マクロファージ / 細胞内局在 |
研究開始時の研究の概要 |
真核細胞には様々なオルガネラが備わっており、各々が特異的な生理機能を果たしている。中心体の細胞分裂における役割はよく研究されているが、その他の機能はほとんど知られていない。これまでの研究から、申請者は中心体に炎症関連分子が集積していることを見出した。本研究では、中心体を介した炎症制御機構を解明し、これまで知られていなかった中心体の病理機能を明らかにすることを目指す。中心体の新機能を明らかにすることで、学問的な概念を一新するだけでなく、新たな創薬標的に発展することも期待される。
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研究実績の概要 |
近年、ミトコンドリアや小胞体に炎症応答に関わる分子が相互作用していることを示す報告が相次いでおり、オルガネラが免疫応答を制御していることが明らかになり始めている。中心体は真核細胞が有する細胞内小器官であり細胞分裂における役割はよく知られているが、それ以外の機能はほとんど明らかにされていない。われわれはマクロファージにおいて細胞内に発現する特定の異物認識受容体が活性化すると炎症関連分子が中心体に集積することを見出した。そこで薬剤を用いて中心体形成を阻害したところ、炎症応答が緩和することがわかった。中心体への炎症関連分子の集積も減少したことから、中心体が炎症を誘発する足場となっていることが示唆された。また、中心体にはガンマチューブリンをはじめとする微小管分子が多いことから、微小管形成を阻害したところ炎症関連分子の中心体への移動が低減し、炎症性サイトカインの産生も減弱した。このことから、微小管骨格を介して炎症関連分子が中心体に局在移動していると考えられる。微小管を介した分子の移動にはモータータンパク質が必要であることから各阻害剤を用いてスクリーニングを行ったところ、特定のモータータンパク質が炎症応答を制御していることが明らかとなってきた。このように、細胞分裂しないマクロファージにおいて中心体は炎症応答の制御に関わっていることから、様々な炎症性疾患における新たな創薬ターゲットとして期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中心体が炎症応答の足場として機能する際に必要となる細胞骨格分子やモータータンパク質を絞り込むことができた。また、これらを阻害することで炎症応答が減少することも明らかとなってきた。初年度でこのような詳細な分子メカニズムを突き止めていることから実験は計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究から、中心体を介した炎症制御機構が明らかとなってきた。阻害剤実験で得られた結果を遺伝子改変実験などで追試するとともに、病態モデルでの検討にも着手していく。
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