研究課題/領域番号 |
23K18127
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
斉藤 寿仁 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (50211925)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 葉緑体 / 細胞内共生 / 盗葉緑体 / ウミウシ / 培養細胞 / オルガネラ分解 / 盗機能現象 |
研究開始時の研究の概要 |
舌類ウミウシの中には、体内に取り込んだ葉緑体を細胞内に保持して長期にわたり光合成産物を利用する種がいる。この外来オルガネラを借用するウミウシの生体応答は「盗葉緑体現象」と呼ばれているが、そのメカニズムは不明である。どのようにしてウミウシが外来オルガネラの葉緑体を細胞内に取り込み維持するのか?という難問は未解決のままである。本研究では独自に立ち上げたウミウシ細胞の初代培養系を活用し、盗葉緑体現象のin vitro再構成系を世界に先駆けて構築する。これにより、動物細胞内で葉緑体が機能する謎に迫る。細胞内共生と盗機能現象の区別を分子レベルで説明し、葉緑体のオルガネラ進化過程の理解を深化、拡張する。
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研究実績の概要 |
葉緑体は光合成を行う植物特異的オルガネラである。興味深いことに、軟体動物門に属する嚢舌類ウミウシの中には、餌として摂取した海藻の葉緑体を細胞内に保持して、数週間から数ヶ月の長期にわたり光合成産物を利用する種がいる。この外来オルガネラを借用したウミウシの生体応答は「盗葉緑体現象」と呼ばれているが、そのメカニズムは不明である。最近、水平伝播した光化学系の遺伝子がウミウシゲノム中に存在する可能性が否定されたが、どのようにしてウミウシが葉緑体を自身の細胞内に取り込み維持するのか?という難問は未解決のままである。この難問に直接アプローチするには、盗葉緑体現象をin vitro実験系で再現して制御因子を探索することが有効である。そこで本応募では、独自に立ち上げたウミウシ細胞の初代培養系で、盗葉緑体現象のin vitro再構成系を世界に先駆けて構築する。これまでに、ウミウシ(コノハミドリガイ)の入手と飼育法が確立できたが、in vitro培養系の長期培養が難しいことがわかってきた。また、組織切片の観察ができるようになり、盗葉緑体の可視化の他、ウミウシの細胞内構造の可視化ができるようになっている。これにより、今後、動物細胞内での葉緑体制御の分子基盤に迫ることができる。加えて、マウスマクロファージ細胞にホウレンソウ葉緑体を導入することに成功した。これにより、光合成能を付加する新規オルガネラテクノロジーのための知的基盤の構築にも貢献できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ウミウシ(コノハミドリガイ)の入手と飼育法が確立できた 2)in vitro培養系を試みているが、長期培養が難しい 3)組織切片の観察ができるようになった 4)葉緑体の可視化の他、細胞内構造の可視化ができるようになっている
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今後の研究の推進方策 |
1)in vitroの培養細胞系についてはさらに検討する 2)葉緑体の細胞内への取り込みを組織において観察できるようにする 3)マウスのマクロファージへの葉緑体の取り込みに関する解析も開始する
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