研究課題/領域番号 |
23K18135
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢島 潤一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00453499)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | FRET型張力センサー / 細胞骨格 / 蛍光タンパク質 / 微小管結合タンパク質 / 微小管 / 3次位置検出顕微技術 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞骨格微小管間の力を計測できる蛍光タンパク質や蛍光色素を利用したセンサータンパク質の開発により、培養動物細胞内微小管間にかかる力を3次元空間で定量できる顕微システムを構築する。細胞に対してマイクロマニピュレーションによって外部負荷をかけた場合、また、微小管作用薬やキネシン阻害剤を細胞へ添加した場合における、細胞内の微小管ネットワークの力応答を定量することで、細胞骨格ネットワークを制御する力学的な伝達システムの理解を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、培養動物細胞内で形成される細胞骨格微小管ネットワークで力がどのように受容され、伝播または応答するのかの分子機構の解明を目指している。研究実施計画に基づき、(1)微小管間にかかる張力の可視化センサー(FRET型張力センサー)の開発、(2)細胞内の微小管間にかかる力の3次元定量方法の検討、(3)培養細胞の微小針を用いた変形操作手法の確立を行った。(1)に関しては、エネルギー共鳴移動可能な一組の蛍光タンパク質に、研究協力者の協力を得て、より明るく褪色しにくいStayGold蛍光タンパク質の単量体型を作成した。微小管結合タンパク質として、モータータンパク質である単量体キネシン-1の対微小管強結合型変異体や、Ncdとキネシン-1から構成されるキメラタンパク質を採用してコンストラクトを作成した。生化学的実験および1分子イメージング実験を実施し、光安定性および微小管結合性を定量・評価した。微小管結合タンパク質キネシンに融合したmStayGoldは、従来型のmEGFPよりも同一の観察条件において蛍光寿命が長く、以前に開発した従来のセンサータンパク質よりもFRET効率が向上することが見込まれる。微小管との結合力はキメラタンパク質にATP非依存性微小管結合能を有する変異体が最も強かった。これらを組み合わせた改良型FRET型張力センサーを作成した。(2)に関しては、共焦点顕微ユニット、3次元位置検出ユニット、2つのユニットを統合した光学系の3通りの光学系を用いて、in vitroで3次元空間で蛍光標識した微小管の画像を比較検討した。また、培養細胞内の蛍光標識した微小管の3次元位置の解析方法についての検討を行った。(3)に関しては、培養動物細胞を効率的に圧迫する微小針の形状の選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画の複数の項目を当初の計画通りに進めることができ、次年度で培養細胞内微小管間にかかる張力の可視可を3次元空間で定量する準備が整い、要素技術に関する論文が公表まで至っため。
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今後の研究の推進方策 |
FRET型張力センサータンパク質のFRET効率が改善されるようなリンカー配列を選出する。培養動物細胞に、開発したFRET型張力センサータンパク質DNAをトランスフェクションし、間期微小管間、および、分裂期微小管間に働く張力を3次元空間で可視可する方法を検討する。計画当初、購入を予定していたピエゾ機器が特定部品の流通の遅延や価格の高騰のため購入を断念せざるを得なくなり、FRETシグナル値と張力との校正評価を実施できなかった。張力の可視化は相対値として評価することに変更し、細胞内微小管に張力が伝播するプロセスを可視化することとする。高分解能かつ広範囲の画像の取得が必要となるため、対物レンズの選定や光学的に縮小する方法を検討する。微小針によって外部から力学的刺激を与えた場合、または、分裂期キネシン作用薬を添加し化学的刺激を与えた場合、それぞれの刺激に応答した微小管間の張力を可視可・定量し、細胞内に働く細胞骨格微小管を介した張力のマッピングや伝播過程を明らかにする。
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