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超並列分散処理の細胞実装機構を解明するイメージング法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K18168
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分46:神経科学およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

高木 朗子 (林朗子)  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60415271)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワードシナプス / 2軸2光子顕微鏡
研究開始時の研究の概要

神経の発火が最大でも数百Hzという低さにもかかわらず、計算機を大きく上回る高速処理を脳が実行できるのは、脳の計算方式が超並列分散処理だからである。並列度を規定するのはシナプスの数であり、脳は膨大な数の神経細胞が約数千から1万のシナプス結合を有する超並列回路である。このような超並列情報処理の神経基盤の解明を可能とするイメージング法と、そのビッグデータ解析法を創出し、作動原理のモデリングを試みる。

研究実績の概要

マウスの前頭野と他の脳領域を同時に観察できる高解像(シナプス解像)度の2軸2光子顕微鏡システムをこれまでに作成していた。今年度は、当該顕微鏡の光学性能を校正用微細蛍光ビーズの蛍光値や形状を測定し、その値よりXYZ軸のPSFを定量し、満足すべきレベルまで到達したことを確認した。また2軸の光学系が同期してイメージングすることが重要であるが、レゾナントスキャナーの物理的性質のため、各軸の振動周期を完全に同期することは難しい。そこで、両軸が1フレーム事にどの程度の時間的ズレが生じるかを検証した結果、740フレーム(約3分間)のイメージングをおこなうと、最終フレームでは両軸に10ミリ秒のズレが生じることが分かった。これ以上の2軸同期は物理的に困難であると判断し、各フレームイメージのタイムスタンプ情報を元に、Post hocで両軸のイメージングを時間的に同期するためのシステム構築を行い、これを完了した。次に、この新規顕微鏡の性能を引き出せるための最適なイメージング法の確立を目指した。すなわち、2光子観察窓作製、グリンレンズ挿入、ヘッドプレート装着である。前頭野を標的とした観察窓の作製は従来どおりで実行可能であるが、前頭野用の対物レンズに干渉しないように扁桃体へのグリンレンズ挿入を行い、その際に、どの脳領域が破壊されるかを3D CADデータより算出し、アクセス角度の条件をシミュレーションした。そして手術中の灌流液の種類、脳実質をどの程度吸引して扁桃体まで到達すると良好な結果が得られるかを実際の実験で比較した。このような繰り返し実験により、2軸2光子イメージングのための手術法に一応の目処がついた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規顕微鏡の光学調整を行い、その性能を校正用微細蛍光ビーズの蛍光値や形状より定量し、満足すべきレベルまで到達した。2つの方向からの頭部観察窓作成術に関しても、扁桃体と前頭葉に到達するためのアクセスおよび手術法に一応の目処がついた。

今後の研究の推進方策

最適化した2軸イメージング法を用いて、恐怖条件付けモデルにおける「消去(Extinction)」の解析を行う。活動依存的に神経細胞を可視化するESARE:: tdTomato、活動依存的に神経前部を可視化するESARE::VAMP2-mTurquoise2、および24時間以内に新生・増大した樹状突起スパインを特異的に標識しAS-PaRac1を用いた予備実験により、ストレス負荷後に、前頭野と扁桃体の神経細胞群が活発に活動し、シナプス可塑性が生じていることが明らかになったため、この回路に着目し、前頭野および扁桃体の2色Ca2+イメージングを行う。シナプスレベルの詳細な解析のためには、別コホートを準備し、シナプス入力をiGluSnFrのイメージング解析、スパイン体積変化解析を行う。データの解析法の確立と共に、このデータを元にモデル化を試みる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Large-scale animal model study uncovers altered brain pH and lactate levels as a transdiagnostic endophenotype of neuropsychiatric disorders involving cognitive impairment2024

    • 著者名/発表者名
      Hideo Hagihara、Takao Keizo、他129名
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 12 ページ: 89376-89376

    • DOI

      10.7554/elife.89376

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Effect of brain acidification on depression-related behaviors in diabetes mellitus2023

    • 著者名/発表者名
      Temma Yusuke、Obi-Nagata Kisho、Hoshiba Yoshio、Miyake Ryuhei、Katayama Yuta、Hagihara Hideo、Suzuki Norimitsu、Miyakawa Tsuyoshi、Nakayama Keiichi I.、Hayashi-Takagi Akiko
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychiatry

      巻: 14 ページ: 1-11

    • DOI

      10.3389/fpsyt.2023.1277097

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Distorted neurocomputation by a small number of extra-large spines in psychiatric disorders2023

    • 著者名/発表者名
      Obi-Nagata Kisho、Suzuki Norimitsu、Miyake Ryuhei、MacDonald Matthew L.、Fish Kenneth N.、Ozawa Katsuya、Nagahama Kenichiro、Okimura Tsukasa、Tanaka Shoji、Kano Masanobu、Fukazawa Yugo、Sweet Robert A.、Hayashi-Takagi Akiko
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 9 号: 23 ページ: 1-17

    • DOI

      10.1126/sciadv.ade5973

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Towards human synaptic physiology for psychiatric research2024

    • 著者名/発表者名
      Akiko Hayashi-Takagi
    • 学会等名
      Neuroscience Network in Kobe
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 次世代の基礎精神医学研究のめざすもの:疾患病態生理の因果関係をマルチスケールに解明する2023

    • 著者名/発表者名
      林(高木)朗子
    • 学会等名
      第119回日本精神神経学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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