研究課題/領域番号 |
23K18179
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 淳賢 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20250219)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | AdipoR2 / パルミチン酸 / ホスホリパーゼA2 / リン脂質リモデリング / リン脂質 / ホスホリパーゼA / 脂肪酸分子種 / LC-MS/MS / MS Imaging |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では生体膜リン脂質の多様性の分子メカニズム解明、および、そのメカニズムに関与する酵素群の解析を通じ、生体膜リン脂質の多様性の生物学的意義を明らかにする。申請者は、生体膜リン脂質の多様性を生み出す上で鍵となる酵素群、PAQRファミリー分子を同定した。PAQR1, 2は細胞膜リン脂質の不飽和化に寄与し、糖尿病病態を抑制しているというPAQR1, 2の新規機能が想定されている。本研究では、PAQRファミリー分子に着目した動物・細胞レベルでの解析を通じ、上記の目的を達成する。
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研究実績の概要 |
パルミチン酸やステアリン酸のような飽和脂肪酸を含むリン脂質が生体膜に蓄積すると、蛋白質分解反応(UPR)や細胞死を引き起こす可能性がある。最近、アディポネクチンの細胞内受容体と推定されるAdipoR2が、特に細胞に飽和脂肪酸が過剰に負荷された場合に、膜リン脂質組成を変化させることで膜の流動性に寄与することが示唆された。しかしながら、その根底にある分子メカニズムは未だ解明されていない。今回我々は、AdipoR2が飽和脂肪酸を含むリン脂質に選択的なホスホリパーゼA2活性を持つことを明らかにした。HEK293細胞でAdipoR2を過剰発現させると、飽和脂肪酸を含むリン脂質が減少し、sn-1位に脂肪酸を持つリゾリン脂質が顕著に増加した。対照的に、HEK293A細胞でAdipoR2をノックダウンすると飽和リン脂質が増加した。組み換えAdipoR2タンパク質はin vitroで顕著なPLA2活性を示し、sn-2位の飽和脂肪酸を選択的に除去した。HeLa細胞でAdipoR2を過剰発現させると、活性依存的にパルミチン酸誘導性の細胞死とUPR活性化が顕著に抑制された。これらの結果を総合すると、AdipoR2は飽和脂肪酸選択的ホスホリパーゼA2活性を発揮することにより、飽和脂肪酸による脂質毒性から保護することが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
酵素活性の発見から60年以上、酵素本体が未同定であったリン脂質李モデリング酵素がAdipoR2であることを証明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
AdipoR2以外にPAQRファミリーには11の分子が存在する。今後、これら11種類のPAQR分子に関してのリン脂質リモデリングPLA2としての機能を明らかにする必要がある。
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