研究課題/領域番号 |
23K18184
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00201773)
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研究分担者 |
星野 大 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70304053)
河野 健一 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70732874)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 膜タンパク質可溶化 / 膜タンパク質 / 可溶化剤 |
研究開始時の研究の概要 |
膜貫通型タンパク質(MP)は、シグナル伝達や物質輸送にかかわると同時に、多くの薬物の標的であることから、その構造・機能の解明は、細胞機能の理解のみならず創薬の面でも極めて重要である。しかし、MPは水に溶けないため、nativeな構造を保ったまま安定にハンドリングするのが困難であり、研究のボトルネックになっている。研究代表者はこの問題を解決するため、新規リン脂質誘導体の可溶化剤の開発に成功した。本研究では、この新規可溶化剤を用いて、核磁気共鳴スペクトルを用いたMPの構造解析やMPのリガンドスクリーニング系の構築を目指し、MP研究にブレークスルーをもたらす。
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研究実績の概要 |
1)ミセル安定化剤cholyl-PC disulfateは3つのOH基を持つcholyl-PCの硫酸化反応の中間体であるため合成収率が悪い。そこで2つしかOH基を持たないdeoxy cholyl-PCを原料としdisulfateを合成したところ、収率は2.5倍となった。安定化作用はcholyl-PC disulfateと同等であった。 2)C末端にEYFPを融合したヒトニューロペプチドY2受容体(hNPY2R-EYFP)を一過性発現した細胞をcholyl-PCで可溶化後、等量のdeoxycholyl-PC disulfateで安定化した。TMR標識したペプチドリガンドをスペーサーを介してガラス基板に固定化し、細胞溶解液を添加し、全反射蛍光顕微鏡で一分子観察したところ、EYFPとTMRの100 ms程度の共局在が観察され、可溶化hNPY2R-EYFPがリガンド認識能を持っていることが明らかとなった。細胞溶解液を37℃で1週間保存してもリガンド認識能は保たれていた。また、コントロールとして逆配列のペプチドを用いた場合は、長時間の共局在は見られなかった。 3)C末端にEYFPを融合したβ2アドレナリン受容体(β2AR-EYFP)を一過性発現した細胞をcholyl-PCで可溶化後、等量のdeoxycholyl-PC disulfateで安定化した。これをaviTag標識し、neutravidinを介してβ2AR-EYFPをガラス基板上に固定化した。これに蛍光標識リガンドを添加したところ、共局在解析から、可溶化β2AR-EYFPリガンド認識能を持っていることが明らかとなった。 4)大腸菌無細胞合成系でA型インフルエンザM2タンパク質を合成し、cholyl-PC+ deoxycholyl-PC disulfateミセルに可溶化する手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本手法で可溶化したGPCRのリガンド認識能を評価する系が確立でき、また、無細胞合成による膜タンパク質の可溶化法も構築できたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)本手法で可溶化したβ2AR-EYFPの熱安定性を評価するとともに、汎用される膜タンパク質用界面活性剤を用いたときの熱安定性と比較する。 2)安定同位体標識したM2タンパク質を大量に合成し、多次元NMRスペクトルを測定する。リガンドであるアマンタジン添加によるスペクトル変化を調べるとともに、アマンタジン耐性S31N変異体についても同様の実験を行い、野生型と比較する。
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