研究課題/領域番号 |
23K18187
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大高 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (20201973)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ペプチド / グリシルヒドロキサム酸 / サクチペプチド / グリオキシリルペプチド / ロッセン転位 / 分子内Redox反応 / イミン / アルファー修飾ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
「間接alpha-酸化アミノ酸(alpha位以外が酸化されたアミノ酸)は直接alpha-酸化アミノ酸に分子内Redox反応により変換できる」事実を発見し、これを基盤にalpha-酸化ペプチドの効率的合成戦略を開発する。これは、酸化状態の分子内転写を基盤とし、新たなalpha-酸化ペプチド合成法の開拓に繋がり、イミンへの変換を経て、構造多様性に富む修飾ペプチド合成への道を拓くものである。このように本研究は、合成化学的側面において、挑戦性、独自性、新規性が極めて高く、さらに、本研究を通じた修飾ペプチド群の効率的供給により、これらの機能解析・医薬品開発が大きく進展する。
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研究実績の概要 |
タンパク質合成研究の一環としてグリシルヒドロキサム酸(GlyHA)を利用したペプチドフラグメント縮合反応の開発を行っていた。その過程で、N末端GlyHA残基をペプチドチオエステルを利用してアシル化しようとしたところ、目的物は全く得られなかったが、予期せずロッセン転位反応が効率的に進行してGlyHA側鎖部分の酸化状態が主鎖alpha-炭素に転写された結果、アルデヒド構造を有するグリオキシリルペプチドが得られることを明らかにした。まず、本年度は本反応の最適化を行い、最適反応条件を見出すとともに、アルデヒド部分を利用した種々のペプチド環化反応を達成した。この成果は、ペプチドN末端に存在するGlyHA残基に限定されるが、GlyHA残基がペプチド中に存在する基質においてロッセン転位反応による酸化状態の転写が可能となればペプチド主鎖中に合成後期で酸化構造の導入が可能となる。この点についても検討を加え、副反応抑制のためGlyHA残基のC末側は未だPro残基に限定されるものの、本新反応を利用して未だ一例の合成例しかないalpha-チオエーテルペプチドであるSactipeptideの合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を行うことで、従来例がない、合成後期でのアミノ酸側鎖部分の主鎖への酸化状態の転写に初めて成功した。この酸化状態転写はロッセン転位反応により進行するもので、この置換は手掛けていた反応の副反応に関する精査より見つけたもので、実際の合成展開に結びつける段階まで発展させることができた。個々の成果として、従来は外部酸化剤の利用が必須であったグリオキシリルペプチドの合成を酸化剤フリーで達成した。さらに、見出した新規反応をペプチド中に存在するGlyHA残基に適用することで、未だ満足できる合成法が存在しないSactipeptide類の合成に成功した。このSactipeptide類の合成は、主反応を合成段階の後期で行うものであり、特筆すべき成果であると考えている。また、続く展開のヒントとなる反応もすでに見つけており、当初の予定以上に研究が進展するものと予想している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、Sactipeptide類の合成では、ロッセン転位反応の結果生じる反応中間体への副反応を抑制するため、GlyHA残基のN末端側残基はProに限定されていた。この問題にC端側アミド結合への保護基導入を行うことで解決を図る予定にしている。実際に、具体的検討を進めつつあり、ほぼ成功の見通しが立っている。 また、上記検討を行う過程で、本研究への端緒であるGlyHA残基を利用したペプチドフラグメント縮合への展開についても、達成への糸口を見つけつつあり、これについても実施する予定である。
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