研究課題/領域番号 |
23K18191
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒井 緑 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40373261)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | PROTAC / 天然物 / アルツハイマー / タウ / 分子のり / エキス |
研究開始時の研究の概要 |
疾病に関わるタンパク質をユビキチンリガーゼに強制的に結合させて安定化し,ユビキチン化の後,プロテアソームで分解させる化合物のことを近年「分子のり」と呼ぶ.本研究では脳に発現しているユビキチンリガーゼを用い,アルツハイマー病の原因タンパク質であるタウタンパク質を強制的に分解できる化合物を天然物基盤で開発する.
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研究実績の概要 |
疾病に関わるタンパク質をユビキチンリガーゼに強制的に結合させて安定化し,ユビキチン化の後,プロテアソームで分解させる化合物のことを近年「分子のり」と呼ぶ.本研究では,脳に発現しているユビキチンリガーゼ中のCerebron (CRBN)を用い,アルツハイマー病の原因タンパク質であるタウタンパク質を強制的に分解できる化合物を天然物基盤で開発する.放線菌エキス中の天然物に化学反応でCRBNを認識するリガンドを連結した「人工天然物エキス」を作成し,タウタンパク質に結合する化合物を申請者独自の「タンパク質ビーズ法」で釣り上げる方法論を開拓する.すなわち,片方のタンパク質リガンドをエキスに結合させ,もう片方のタンパク質ビーズで釣り上げることで,両方のタンパク質に結合する化合物,分子のりを迅速に,天然物ベースで得ることができる.本年度は,CRBNのリガンドとしてポマリドミドを選択し,天然物エキスをアルキル化した後,ポマリドミドアジドとクリック反応を行うことで,人工天然物エキスの作成方法を確立することに成功した.まず,ポジティブコントロールとしてフェノール性化合物を選択し,天然物エキスの中に混合して,アルキニル化の条件を確立した.またここにポマリドミドアジドを加え,同触媒によりクリック反応を行い,天然物エキスという天然物の混合物の中でもクリックが進行することを確認した. 実際の天然物を含むエキスでもPROTAC合成に成功した.また,タウビーズ法の構築,さらにCRBNとタウの両方に結合する化合物を検出する傾向プレートアッセイ系の構築にも成功している.プレートアッセイ系では別途,タウ分解分子のり候補天然物を得ており,その生物活性も評価中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,CRBNリガンドとしてポマリドミドを選択し,天然物エキスをアルキニル化したのち,クリック反応でポマリドミドアジドと種々天然物を反応させ結合させる方法論の開発を行った.ポマリドミドアジドはまず購入品を用いたが,実際に研究室で合成して供給する方法も確立した.まず,ポジティブコントロールとしてフェノール性化合物を選択し,天然物エキスの中に混合して,アルキニル化の条件を確立した.またここにポマリドミドアジドを加え,同触媒によりクリック反応を行い,天然物エキスという天然物の混合物の中でもクリックが進行することを確認した.さらに,実際の天然物が含まれるエキスを用い,その天然物がアルキニル化され,ポマリドミドアジドとクリック反応により,PROTAC候補化合物がエキスの中で合成させることを確認した.すなわち,人工天然物エキスの作成に成功した. また,タウビーズ法の構築,さらにCRBNとタウの両方に結合する化合物を検出する傾向プレートアッセイ系の構築にも成功している.プレートアッセイ系では別途,タウ分解分子のり候補天然物を得ており,その生物活性も評価中である.
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず,人工天然物エキスの構築方法の改良を行う.種々試薬の等量や,反応時間等を検討する.検討を終えてすぐ,人工天然物エキスライブラリーの作成を行う.ライブラリーを作成するにあたって,ポマリドミドアジドの量上げ合成を行う.また,上記の既知天然物PROTACを別途,化学合成し,天然物エキス内での生成物の同定を行う.さらにこのPROTACの生物活性を評価する. 人工天然物エキスライブラリーは,当研究室保有の放線菌ライブラリーのうち,天然物混合物のHPLCでのUV吸収ピークが明瞭なものを選択する.100から500の人工天然物ライブラリーを作成する.その後,タウビーズ法により,タウに結合する化合物を見いだす.タウ担持ビーズとライブラリーを4度で混合し,その後,結合しなかった化合物を洗浄し,結合した化合物はエタノールを加えて解離させ,HPLCで検出する.得られたピークを指標に大量調整した人工天然物エキスからタウに結合する化合物を単離・構造決定する.得られた化合物のCRBNとタウの両方に結合する活性があるかを,CRBN蛍光プレートアッセイにより評価する.さらに,タウを実際に細胞内で分解できるか,タウ強制発現細胞に処理し,Western blotにて評価する.
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