研究課題/領域番号 |
23K18192
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
渡邉 千鶴 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (60549187)
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研究分担者 |
佐藤 朋広 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (00595358)
沖山 佳生 神戸大学, システム情報学研究科, 学術研究員 (80536384)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | フラグメント分子軌道法 / 抗原-抗体 / タンパク質-タンパク質相互作用(PPI) / 相互作用エネルギー / 機械学習 / FMO / IFIE / フラグメント分子軌道(FMO)法 |
研究開始時の研究の概要 |
優良な抗体医薬品設計において抗原とその中和抗体との結合親和性や、結合の鍵となるアミノ酸残基とその相互作用の種類を解明することは非常に重要である。このようなタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の詳細な結合メカニズムは、フラグメント分子軌道(FMO)法に基づくフラグメント間相互作用エネルギー(IFIE)解析によって量子化学的に定量化可能である。本研究では、IFIEを表現する記述子を開発し、FMOデータベースに登録された大量のIFIEデータを活用し「PPIにおけるIFIE予測機械学習モデル」を構築することで、FMO計算を明に実施することなく短時間かつ簡易に高精度な相互作用解析の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
世界的パンデミックを引き起こすウイルスの抗原とその中和抗体との結合親和性や、結合の鍵となるアミノ酸残基とその相互作用の種類を解明することは、優良な抗体医薬品設計において非常に重要である。このようなタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の詳細なメカニズムは、フラグメント分子軌道(FMO)法[Kitaura et al,1999]に基づくフラグメント間相互作用エネルギー(IFIE)解析によって量子化学的に定量化可能である。本研究では、研究代表者らが作成したFMOデータベース(https://drugdesign.riken.jp/FMODB/)に登録した大量のFMO-IFIEデータを活用し「PPIにおけるIFIE予測機械学習モデル」を構築し、FMO計算を明に実施することなく短時間かつ簡易に高精度な相互作用解析の実現を目的とする。 本年度の研究では、FMOデータベースに登録された約20,000構造(unique PDB ID: 約6,000)のアポタンパク質データを対象として、アミノ酸残基ペアの分子内相互作用エネルギーを予測するための機械学習モデル構築を目指した。始めに学習用のフラグメントペアに対するアミノ酸残基情報、IFIEエネルギー、PDBの座標情報などのデータキュレーションを行った。次に、アミノ酸残基ペアを表現する記述子としてフラグメントペアに対する原子間距離情報を用いた機械学習モデルを構築した。この時、アポタンパク質のIFIE予測について全アミノ酸残基ペアの機械学習モデルを構築し、予測精度の高いモデルを構築することが出来た。また、最終的な予測対象となる抗原-抗体複合体のFMOデータセットについて、既存のFMO自動計算プロトコールの改良を行い、約300複合体構造のFMO計算を並行して進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の要所の一つとして、機械学習モデルによって予測するIFIEやPIEDAなどの相互作用エネルギー情報、記述子として使用するアミノ酸残基情報(フラグメント電荷、原子間距離等)等の基礎データを抽出するためのプログラム開発が完了し、IFIE予測モデルの構築するためプログラムを整備した。初期検討としてアポタンパク質のFMOデータセットを学習セットとしたアミノ酸残基ペアの分子内相互作用エネルギー予測について良好な予測結果が得られている。また、FMO計算自動化プロトコールを改良することで、本課題で使用する抗原-抗体データセットの計算も開始することが出来た。以上の状況を踏まえ、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在、アポタンパク質のFMOデータを用いたアミノ酸残基ペアのIFIE予測するための機械学習モデルを構築し、予測精度向上に向けた検討を進めている。加えて、本研究の最終的な予測対象とする抗原-抗体複合体のFMOデータセットの作成を進めている。これらの知見や追加のFMOデータを基に、次年度はPPI相互作用エネルギー予測モデル構築を進める。その際、学習データをアポタンパク質データセットのみ用いる場合と、抗原-抗体複合体データセットを含める場合とで相互作用エネルギーの予測精度への影響について検討を行う。また、記述子に関してはフラグメントペアの周辺環境を表現可能な情報を導入することで、予測精度向上を目指す。予測対象となる抗原-抗体データセットについては引き続きFMO計算を実行し、タンパク質以外のリガンド、糖鎖、金属等を含むような構造に合わせて適宜FMO計算自動化プロトコールの改良を行いデータの拡充を図る。
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