研究課題/領域番号 |
23K18212
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
宗 孝紀 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (60294964)
|
研究分担者 |
石井 直人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60291267)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | T細胞 / TNF受容体 / TNFリガンド / 補助刺激 / 免疫制御 / リコンビナントタンパク質 / TNF / TNFR / 補助刺激シグナル / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
感染症やがんによる社会問題は今後さらに増加することが予想され、有効な治療法の開発が求められています。T 細胞に発現するTNF受容体、OX40、4-1BB、CD27、GITR は、免疫制御分子として、防御免疫の確立に寄与します。しかし、TNF受容体の機能活性をどのように引き出し、応用するかに関する情報が不足しています。本研究では、TNF受容体を活性化できるTNFリガンドの構造要素と種類に関する情報を取得し、これをもとに、TNF 受容体を最適に活性化できる分子を作製し、感染症やがんを克服できる有効な T 細胞制御法の確立を目指します。
|
研究実績の概要 |
感染症や癌が社会に及ぼす影響は、今後も引き続き重要になっていくと予想される。適応免疫の中心的役割をはたすT細胞は、外部からの細菌やウイルスのみならず、内部で発生した癌を特異的に認識し、これらの異物を体内から排除するようにはたらく。免疫機構の基本原理に基づいて、T細胞の機能に重要な役割を果たすサイトカインの機能を制御し、このことにより疾患の克服を目指す研究がこれまで行われてきた。申請者らが着目するTNF受容体OX40、4-1BB、CD27、GITRは、免疫補助刺激受容体としてT細胞に発現することで抗原受容体TCRの機能を制御し、T細胞の増殖・分化・生存を促し、エフェクター/メモリーT細胞の産生を増加させる。このTNF受容体の活性が、感染やがんに対する防御免疫に重要な役割を果たす。本研究は、T細胞の機能制御の観点から、TNF受容体を最適に活性化できるTNFリガンドタンパク質分子を創製し、その機能をin vitroおよびin vivoにおける実験により検証することで、画期的なT細胞制御法の確立に挑戦することを目的とする。 本年度は、それぞれのTNF受容体に対するTNFリガンド分子OX40L、4-1BBL、CD27L(CD70)、GITRLに関して、異なる構造を持つタンパク質分子を調製するための研究を行なった。具体的には、該当するTNFリガンドタンパク質の元になる遺伝子をPCRにより合成し、これを高発現ベクターにクローニングし、CHO細胞などの細胞を用いて、培養上清中からタンパク質を分離精製する実験系を確立した。精製したTNFリガンドタンパク質を用いて、in vitroでマウスの脾臓より精製したCD4+ および CD8+ T細胞を刺激し、調製したTNFリガンドタンパク質にアゴニスト活性があることを確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1(分子を作製し、in vitro で機能を評価する)に関して、TNFリガンドタンパク質の遺伝子の作成、HEK293T細胞およびCHO細胞を用いた発現系の構築、Protein Aやタグ抗体によるカラム精製に関する実験系を確立し、in vitro においてその機能を評価する実験系も確立できた。課題2(機能を最適化した分子を創る)に関して、OX40Lにおいて、異なる分子を作製し、その機能を in vitro で評価した結果、多量体化度の高いOX40Lに強いT細胞刺激活性が認められた。課題3(in vivo で機能を評価する)に関して、TNFリガンドタンパク質をマウスに投与した後に、抗原とアジュバントでマウスを免疫し、in vivoにおけるT細胞応答を評価した。その結果、独自に作製したOX40L、4-1BBL、CD70、GITRLタンパク質に確かに刺激活性があることを確認できた。異なるタンパク質の構造をもつそれぞれのOX40Lに関して、in vitroとin vivoでのT細胞刺激活性が対応せず、タンパク質の構造因子以外がin vivoでのアゴニスト活性に関係することが示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、特に課題3(in vivo で機能を評価する)に関して、腫瘍実験モデル等の in vivo実験で必要となる各TNFリガンドタンパク質に関して、細胞の大量培養を行い、培養上清から実験に必要な量のタンパク質を精製する。マウスを用いたモデル抗原とアジュバントを用いた基礎免疫学実験および同系腫瘍移植モデルにより、TNFリガンドタンパク質の種類および構造がT細胞応答に及ぼす影響を評価する。課題4(ヒト化分子を創り、機能を調べる)に関して、TNFリガンドのマウスの配列をヒトに置換したタンパク質を調製し、ヒトT細胞に対する機能を評価する。得られた結果を研究成果として報告する。
|