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侵襲性感染症を裏打ちする細菌の環境適応進化とその分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 23K18214
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
研究機関京都大学

研究代表者

中川 一路  京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)

研究分担者 竹本 訓彦  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (40546793)
小川 道永  国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (80361624)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワードA群レンサ球菌 / 劇症型レンサ球菌感染症 / オートファジー / ゲノム変異 / レンサ球菌感染症 / ヘテロジェナイティ / 侵襲性感染症
研究開始時の研究の概要

本研究では、体内環境への侵入に伴う多様性形成機序と体内外での選択圧変化による劇症型株のセレクションに焦点を当て、劇症型感染症の発症要因を様々な細胞内侵入性細菌が持つヘテロジェナイティ誘導に関わる因子と、宿主側の細胞内での環境変化がヘテロジェナイティ誘導に関わる因子の双方の解析から劇症型菌株の発生機構を解明することを目的とする。

研究実績の概要

本研究は、細菌が宿主内での環境変化に適応して高病原化するポピュレーションダイナミクスについて、その制御を担う制御メカニズムとしてエピゲノム制御機構に着目し、高病原する新たなメカニズムを探査・解明することを目的としている。A群レンサ球菌感染では、通常咽頭炎や皮膚の化膿性疾患が主な疾患であるが、散発的に非常に侵襲性の高い劇症型感染症を引き起こすなど多彩な病態を示すことが特徴である。また、劇症型感染症は、特定の劇症型株が流行するのではなく散発的に発生することや、これまでのゲノム比較解析の情報などから通常の咽頭炎由来株が、生体内で何らかの原因によってゲノムのある領域に変異を起こすことで機能欠損体となり、様々な病原因子の過剰産生を起こすことで高病原化し、より侵襲性の高い疾患を引き起こすことが示唆されている。しかし、生体内でそのような変異が、いつ、どのように起きるのかについては明らかとされていない。そこで、本研究では、細菌のゲノムの特定の領域特異的に変異を起こすメカニズムについて、1) DNA修飾が単に部位特異的な修飾によって遺伝子発現の変化を誘導するだけでなく、変異導入を誘発することで高病原化を促すのか 2) 宿主生体内ではゲノム変異が高頻度で誘発されるのか、またそれがどこで起きるのか 3) 変異を誘発するような外的刺激は存在するのか、の3点について明らかとする。そのためA群レンサ球菌の種々の遺伝子欠失体・変異体・再導入体を駆使してin vivo(マウス感染系)とiPSオルガネラを用いた感染実験系によりメチル化と変異の頻度を解析し、また1分子リアルタイム測定によるミスマッチ直接検出法を導入することで実際の生体内により近い状況でエピゲノミックな変化が変異導入に関わるのかどうかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細菌の病原性を大きく変化させる機構は、外来性遺伝子の獲得による構成遺伝子の変化だけでなく、点変異による遺伝子の変化やゲノム構造の変化を伴うリレンジメントなど様々な要因が考えられる。そのため、「病原性の変化」を遺伝子の違いから類推することが現在の細菌学の主流な研究スタイルとなってきた。しかし、同じゲノム配列であっても、Epigeneticな変化によって病原性が変化することが報告されてきており、従来の解析だけでは病原性の発揮メカニズムを説明できない。細菌において、DNAのメチル化は外来性遺伝子に対する免疫システムである制限・修飾系以外にも、複製開始制御やDNAミスマッチ修復システムへの寄与が知られている。また、メチル化は遺伝子発現制御に関わり、近年、一部の細菌では集団内でメチル化パターンの異なる亜集団を持つことで様々なストレス環境下での生存確率を制御あるいは異なる役割を分担させるといった高度な生存戦略を取ることが明らかとなってきた。しかし、この亜集団の出現、すなわちポピュレーションダイナミクスが「偶然に」発生するのか、それとも外的要因によって、「特異的に」起こり得るのか、という点についても、十分な見解は蓄積されていない。本年度は、その点に注目し、in vitroでの感染系によって得られた200株以上の変異体のゲノム解析を行った。その結果、これまで報告されているcovR/S変異体以外での劇症型に関わる変異について明らかとした。

今後の研究の推進方策

in vivoにおけるDNA修飾による遺伝子発現変化とゲノム変異導入の解析(中川、竹本)
N6-methyladenine (m6A), N4-methylcytosine (m4C), 5-methylcytosine modifications (m5C)のDNAメチル化酵素(MTase)の遺伝子欠失株・置換株・導入株を作製し感染実験系にてPacBio SMRT sequencingによってメチル化部位の同定・メチル化頻度測定、変異率測定を行うとともに回収した菌の変異体頻度測定の結果を総合することで、ポピュレーションダイナミクスの観点から解析する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Rab41-mediated ESCRT machinery repairs membrane rupture by a bacterial toxin in xenophagy2023

    • 著者名/発表者名
      Nozawa Takashi、Toh Hirotaka、Iibushi Junpei、Kogai Kohei、Minowa-Nozawa Atsuko、Satoh Junko、Ito Shinji、Murase Kazunori、Nakagawa Ichiro
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 6230-6230

    • DOI

      10.1038/s41467-023-42039-2

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Group A Streptococcus cation diffusion facilitator proteins contribute to immune evasion by regulating intracellular metal concentrations2023

    • 著者名/発表者名
      Aikawa Chihiro、Shimizu Akihide、Nakakido Makoto、Murase Kazunori、Nozawa Takashi、Tsumoto Kouhei、Nakagawa Ichiro
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 676 ページ: 141-148

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.07.052

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Targeting hemoglobin receptors IsdH and IsdB of Staphylococcus aureus with a single VHH antibody inhibits bacterial growth2023

    • 著者名/発表者名
      Valenciano-Bellido Sandra、Caaveiro Jose M.M.、Nakakido Makoto、Kuroda Daisuke、Aikawa Chihiro、Nakagawa Ichiro、Tsumoto Kouhei
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 号: 9 ページ: 104927-104927

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.104927

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Anti-InlA single-domain antibodies that inhibit the cell invasion of Listeria monocytogenes2023

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki Taichi、Nagatoishi Satoru、Yamawaki Tsukushi、Nozawa Takashi、Matsunaga Ryo、Nakakido Makoto、Caaveiro Jose M.M.、Nakagawa Ichiro、Tsumoto Kouhei
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 号: 10 ページ: 105254-105254

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.105254

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Clonal Expansion of Multidrug-Resistant <i>Streptococcus dysgalactiae</i> Subspecies <i>equisimilis</i> Causing Bacteremia, Japan, 2005?20212023

    • 著者名/発表者名
      Shinohara Koh、Murase Kazunori、Tsuchido Yasuhiro、Noguchi Taro、Yukawa Satomi、Yamamoto Masaki、Matsumura Yasufumi、Nakagawa Ichiro、Nagao Miki
    • 雑誌名

      Emerging Infectious Diseases

      巻: 29 号: 3 ページ: 528-539

    • DOI

      10.3201/eid2903.221060

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 液-液相分離体ストレス顆粒を介した生体防御システム2023

    • 著者名/発表者名
      野澤孝志、野澤敦子、村瀬一典、中川一路
    • 学会等名
      第34回日本生体防御学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Rab GTPase ネットワークが制御する細胞内膜輸送経路と細菌感染2023

    • 著者名/発表者名
      野澤 孝志,村瀬 一典,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] TBC1D18 regulates exocytic and endocytic trafficking of the invading Group A Streptococcus2023

    • 著者名/発表者名
      野澤 敦子,野澤 孝志,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 自然免疫シグナル伝達因子 STING が制御するリソソーム分解経路の解析2023

    • 著者名/発表者名
      飯伏 純平,野澤 孝志,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] A 群レンサ球菌の表層蛋白質の機能を阻害する抗体の探索」2023

    • 著者名/発表者名
      山脇 つくし,中木戸 誠,相川 知宏,Jose Caaveiro,中川 一路,津本 浩平
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] A 群レンサ球菌の金属恒常性タンパク質 AdcAII は亜鉛の獲得と病原性に必要である2023

    • 著者名/発表者名
      相川 知宏,清水 玲秀,村瀬 一典,野澤 孝志,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸菌由来の細胞外小胞が A 群レンサ球菌に与える生物学的影響2023

    • 著者名/発表者名
      河岸 優,村瀬 一典,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Genome diversity of Streptococcus dysgalactiae and the evolutional process with host switching2023

    • 著者名/発表者名
      村瀬 一典,柘植 亮佑,中川 一路
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 京都大学大学院医学研究科微生物感染症学分野

    • URL

      http://www.bac.med.kyoto-u.ac.jp

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-07-04   更新日: 2024-12-25  

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