研究課題/領域番号 |
23K18223
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
金 倫基 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (00620220)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 腸内細菌 / 体液調節 / 重症化 / 代謝物 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の体液調節は、生命を維持する上で必須であり、体内の水分や電解質が不足すると、脱水を引き起こす。生体は脱水を防ぐために腎臓や腸、視床下部などで水分・電解質量をコントロールしている。近年、生体の体液調節に腸内細菌叢が関与することを示唆する報告がなされている。しかし、腸内細菌が宿主の体液調節に与える影響については不明な点が多く残されている。そこで本研究は、体液調節に影響を与える腸内細菌を同定し、その作用メカニズムを解明することで、脱水症に対する新たな制御法確立のための基盤的知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
生体の体液調節は、生命を維持する上で必須であり、体内の水分や電解質が不足すると、脱水を引き起こす。生体は脱水を防ぐために腎臓や腸、視床下部などで水分・電解質量をコントロールしている。近年、宿主の生理機能に腸内細菌が関与している可能性が示唆されていることから、腸内細菌が宿主の体液調節系に影響を与える重要な因子の一つである、という仮説を立てた。既に我々は、腸内細菌叢の違いにより、感染性下痢による脱水症状が大きく異なるマウスを得ている。そこで本研究は、体液調節に影響を与える腸内細菌を同定し、その作用メカニズムを解明することで、脱水症に対する新たな制御法確立のための基盤的知見を得ることを目的とした。本年度は、腸管病原細菌に対する感染感受性の異なるマウスを用いて多様な項目について比較を行った。まず、両マウスに腸管病原細菌を感染させたところ、生存率が大きく異なることを見出した。一方、感染後の糞便中の腸管病原細菌の菌数や大腸の炎症度については両マウスで違いが見られなかった。しかし、感染後の血漿浸透圧が異なることを見出した。すなわち、感染感受性マウスにおいて脱水症状が強く表れている可能性が示唆された。さらに、両マウスの感染感受性の違いが腸内細菌叢の違いによるものであることも明らかとなった。以上のことから、腸内細菌叢の違いによって、腸管感染後の脱水症状が変化することを本年度の研究結果から示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、腸内細菌叢の違いによって、腸管病原細菌の感染後の排除能や炎症の程度に影響を与えることなく、脱水症状が変化することを見出すことができ、計画通りに実験が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実験結果から、感受性の異なるマウスの腸管病原細菌感染後の脱水症状の違いを比較することで、脱水症や宿主の体液調節機能に影響を与える腸内細菌を同定し、その作用メカニズムを解明できると考えている。そこで、2024年度には以下の実験を遂行する。①感染性下痢誘導マウスの脱水症状をさらに詳細に比較するため、水分飲水量・血中のアルドステロン・バソプレシン・ヘマトクリット値・Na+濃度や尿量を各群で比較する。②脱水症の悪化に関わる腸内細菌および代謝物(責任代謝物)を同定するため、腸内細菌叢の解析および候補責任細菌を同定する。また、糞便および血液サンプルのメタボローム解析を行い、脱水病態と関連する代謝物を新たに同定する。
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